スイス各州で25日実施された州民投票で、ルツェルン州はバチカンにあるスイス衛兵の宿舎改修に拠出する案を否決した。ベルン州では16歳への投票年齢引き下げ案が大差で否決された。
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公式結果外部リンクによると、有権者の 71.5%が財政負担に反対票を投じた。
州議会が40万フラン(約5800万円)の拠出を可決したのに対し、反聖職者団体や左派政党などが異議を唱えレファレンダム(州民表決)を提起した。
資金は改修計画を率いるスイスの財団に寄付される予定だった。
改修では19世紀に建てられた現在の宿舎3棟と、ローマにある管理本部の建物を近代化する。私的な寄付やスイス・バチカン政府など公的寄付を財源とする。スイス各州も寄付するが、ルツェルン州のように論争がないわけではない。
地元紙ルツェルナー・ツァイトゥング外部リンクによると、ルツェルン州はカトリック教徒が多く、衛兵も多く輩出している。だが政教分離に反すること、バチカンは十分な資力を備えていること、男性のカトリック信者しか使えない宿舎への拠出に納得できる説明がなかったことが敗因だと分析した。
改修費用は5千万フランと見積もられ、工事は2026年に開始される見込み。
時代遅れ
財団によると、1825年に建てられた宿舎は軍隊の現在の要件を満たしておらず、現代の建築規制にも準拠していない。
ローマのバチカンには約110人のスイス兵が駐留しているが、その数は135人に増員予定だ。スイス衛兵は1506年以来、バチカン市国の領土内でローマ教皇を守る治安部隊および警備部隊として活動している。
スイスは今年、バチカンに大使館を開設し、法王庁との外交関係を強化した。
ベルン州:投票年齢引き下げは否決
ベルン州では州レベルでの投票年齢を18歳から16歳に引き下げる議会案が投票にかけられたが、反対票67.2%で否決された。
右派・国民党など反対派は、法定成人年齢と投票年齢を異にするべきではないと主張した。他の主要グループは、民主主義に利するとして州レベルの投票・選挙について投票権を16・17歳にも広げることに賛成していた。
スイスでは過去10年で半数以上の州が投票年齢の引き下げを議論してきたが、多くが否決されてきた。これまでのところ若者の参政権を導入したのはグラールス州のみ。
同様の議論はルツェルン州など少なくとも8州で進んでいる。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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