スイス連邦保健庁が28日発表した2022年の医療保険料は前年比0.2%低い315.30フラン(約3万8千円)となった。減少は14年ぶり。
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スイスの基礎医療保険は強制加入だが、公的保険はなく、全国民がいずれかの民間保険に入る。各保険会社は翌年適用する保険料について、10月末までに被保険者に通知する必要がある。被保険者は11月末までなら保険を解約・変更できる。
22年の保険料外部リンクは全国平均で月315.30フラン。金額は州ごとに異なり、増減は2.1%の減少から1.4%増加までばらつきがある。
全国平均が減少するのは08年以来。過去10年間は平均して年2.4%増加していた。
アラン・ベルセ内務相は28日の記者会見で「医療保険料の減少はスイス国民にとって非常に良いニュースだ」と述べた。
準備金を取り崩し
保険料引き下げの背景の1つには、医療保険会社がこれまで積み立ててきた準備金を取り崩していることがある。
保健庁は28日発表した声明で「連邦閣僚が保険会社に準備金の取り崩しを奨励するために導入した措置は効果があったことが分かった」と強調した。
今年6月に発効した改正法で、保険会社が自主的に準備金を取り崩しやすくなったという。
「準備金が超過しないように保険料をできるだけ厳密に算出しやすくなった」とも説明した。
保健庁は22年に向けて、準備金を自主的に3億8千万フラン減らすことを承認した。推定124億フランに積みあがっている準備金総額に比べると微々たる額だ。
保健庁によると、「連邦閣僚は、今後数年は保険会社のソルベンシー(財務健全性)を傷つけることなく準備金の取り崩しを継続できると考えている。また、それが必要だとも考えている」。
膨らむ医療費
医療保険業界団体「サンテスイス(santésuisse)」は保険料の減額を評価する一方、保険料の高騰を抑えるためには医療費を削減する必要があると警告した。
スイスの高額な医療費は大きな課題になっている。人口動態の変化や技術の進歩により、今後も医療費の増加が必至だ。
スイスの医療制度は全般的に優れていることで知られているが、世界で最も高額な制度の1つでもある。スイスは国内総生産(GDP)の約12%を医療費に費やしている。
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