スイスの2015年の排出量は1億1600万トン。このうち3分の2に相当する7600万トンは海外で生産された
(c) Keystone / Valentin Flauraud
気候の保護をスイス連邦憲法に明記し、温室効果ガスを2050年までに激減させることを求めたイニシアチブ(国民発議)がスイス連邦内閣事務局に受理された。国民投票を実現するためには、来年10月30日までに最低10万人分の署名を集める必要がある。
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政府広報に4月、「健康的な気候のためのイニシアチブ」が掲載された。同イニシアチブは昨年設立のスイス気候保護協会が立ち上げた。
同協会は現在2千人の会員がおり、環境団体、教会、研究者らが支援。イニシアチブの発起人委員会には政治家もいる。
1月に発表された同イニシアチブは、2020年以降の地球温暖化対策に関する国際的な枠組み「パリ協定」の目標を連邦憲法に明記し、気候保護を政治の最重要課題として促進するよう求めている。
イニシアチブでは、気候政策は経済の強化を目指すほか、イノベーション技術の使用によるさらなる促進が見込まれるとしている。一方で、技術的に取りうる代替手段がない場合は例外も必要という。
政府の最新の統計によると、スイスでは2015年、個人の生活や企業の生産活動で出た温室効果ガスを二酸化炭素に置き換えた排出量は1億1600万トンだった。このうち7600万トンは海外で生産された。
世界初、世界遺産の氷河の研究
スイス拠点の国際自然保護連合(IUCN)の調査外部リンクによると、二酸化炭素排出量が現在のペースで増え続けると、世界遺産にある氷河のほぼ半分が消滅する。調査では、氷河が含まれる世界遺産46カ所を調べた。スイスのアレッチ氷河、グリーンランドのヤコブスハン氷河、ヒマラヤのクンブ氷河などが含まれる。
調査の担当者は、氷河が地球規模で生態系や社会に重要な役割を果たしていると主張。氷河の保全活動は、空前の気候変動問題に立ち向かうきっかけになると呼び掛ける。
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