国連広場にそびえ立つ彫刻「壊れた椅子」。国際NGO(非政府組織)ハンディキャップ・インターナショナルが、スイス人彫刻家のダニエル・ベルセ氏に制作を依頼した。このジュネーブのアイコンは、我々に対人地雷で障害を負った被害者を思い起こさせる。左足の1本が折れた高さ12メートルの椅子は、コロナ危機や多国間主義の崩壊を必死に乗り越えようとする今の国際都市ジュネーブをも象徴しているのかもしれない
Mark Henley
国連欧州本部の建物パレ・デ・ナシオン(諸国民の殿堂の意)は、国際都市ジュネーブの心臓部だ。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンの間、「国民のいない殿堂」になった。多くの会議や会合がオンラインで開催され、在宅勤務をする職員も多いため、パレ・デ・ナシオンは今も静かだ
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パレ・デ・ナシオンは変化にもさらされている。大規模改修工事および新館の建設工事が進行中だ。戦略的遺産計画(SHP)は、(歴史的建造物である)国連欧州本部を改修し、最新式にする総工費8億3650万フラン(約980億3780万円)のプロジェクトだ。しかし、この計画にはすでに遅れが出ており、内部監査で、SHPの実施要領に欠陥があると指摘されている
Mark Henley
ウッドロー・ウィルソン米元大統領にちなんで名付けられたパレ・ウィルソンは、1875年に高級ホテルとして始まった。第1次世界大戦後には、国連の前身である国際連盟の最初の本部が置かれた。レマン湖畔に建つ砂岩造りの壮大な建物に今は国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が入っている。しかし、パレ・デ・ナシオンの新館が竣工すれば、OHCHRは新館に移転される予定だ
Mark Henley
ジュネーブに政府代表部を置く国は180カ国を超える。中には、韓国政府代表部(写真)のように大きい事務所を構える国もある
Mark Henley
その一方で、ギニア政府代表部(写真は代表部の入口)のように小さい事務所を置く国もある。査証を発給するためだけではなく、自国の利益になるようロビー活動を行うために、多くの貧困国も国際都市ジュネーブに政府代表部を置いている
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スイス連邦政府の資金援助を受けて作られた世界貿易機関(WTO)の新会議室。2008~12年に行われたWTO本部の大規模改修工事の一環だった。トランプ米大統領の攻撃を受け、改革を求める声にさらされるWTOは過去最大の危機に直面している。また、WTOは新しいトップを探している
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WTOと同様に、ジュネーブに本部(写真)を置く世界保健機関(WHO)も深刻な財政問題と信頼の失墜に直面している。WHOにとってコロナ危機は何よりも大きな試練だ
Mark Henley
赤十字国際委員会(ICRC、写真はパレ・デ・ナシオンから見たICRC本部)は、ジュネーブで最も歴史があり、最もよく知られたNGOの1つだ。戦時下の文民を保護するジュネーブ条約の守護者だ。ICRCは中立であるがゆえに、紛争の双方に介入して人道的活動を行うことができる
Mark Henley
ジュネーブ国際開発高等研究所(IHEID)は、レマン湖畔の歴史的建造物で始まった。しかし、今ではその活動のほとんどが、線路沿いにある現代的なガラス張りの複合施設で行われている
Mark Henley
ジュネーブ最先端科学外交基金(GESDA)は、スイス連邦政府の支援を受け、今年初めに正式に発足した。WTO本部に近い「バイオテック・キャンパス」(写真)に集まる数多くの革新的スタートアップの1つだ
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パレ・デ・ナシオン新館の建設工事は昨年初めに始まった。5千平方メートルの敷地に政府代表部や国際組織が入居する予定だ。通称「代表部の家」は国連欧州本部に近く、交通の便も良い
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