国民議会(下院)は27日、スイス国内のブルカ着用禁止案を賛成88、反対87、白票10の1票差で可決した。これが全州議会(上院)を通過するかどうかはまだ不明だ。
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ブルカ着用禁止案をめぐっては、全州議会国政委員会が2016年初頭、公共の場で顔全体を覆い隠す衣装の着用禁止案を賛成1、反対10、白票2の大差で否決。宗教上の理由から顔全体を覆い隠す人物をスイス国内で見かけることは極端に少なく、特に問題にはなっていないと議論していた。
またブルカ着用禁止案反対派のクルト・フルリ氏(急進民主党)は投票前の議論で、顔全体を覆い隠す衣装の着用禁止は安全対策と何の関連性もないとし、また同案に関するイニシアチブ(国民発議)は既に立ち上げられていると指摘していた。
「顔や全身を覆う衣装着用禁止にイエスを」という名で立ち上げられ、現在、署名活動が進められているこのイニシアチブは、17年9月15日までに10万人の有効署名を必要としている。同イニシアチブは成立すれば、議会がどのような決断を下そうとも国民投票に掛けられることになる。
そうなった場合、同イニシアチブが可決される可能性は少なくない。ドイツ語圏の日刊紙シュヴァイツ・アム・ゾンターグが最近行った調査では、現時点で同案の是非を問う国民投票が行われた場合、有権者の約60%が賛成票を入れると答えている。
「我々の文化圏では顔は隠さない」
支持派のヴァルター・ヴォブマン氏(国民党)は、「顔を覆うことは過激派のしるしと見なされても仕方ない」と述べ、顔全体が覆い隠されているとその人物が暴力的で危険なのか、武器を所持しているかどうかが判断できないと、同案を支持する理由を述べた。「我々の文化圏では顔は隠さない」
このテーマは既に長い間、スイス国内でも特に州レベルで熱い議論が交わされてきた。ティチーノ州は13年の住民投票で、公の場で顔全体を覆い隠す衣装の着用禁止をスイス国内で初めて可決。同法は16年7月1日から施行された。これにより、ティチーノ州では公の場でのブルカおよびニカブの着用ができなくなっている。
(英・独語からの翻訳&編集・大野瑠衣子)
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このイニシアチブでは、ベールなど、顔全体を覆うあらゆる衣服の着用をスイス全土で禁止することが求められている。発起人は、右派の政治家と活動家からなるグループ。彼らはスイスが「イスラム化」する恐れがあり、また顔を隠すことが治安問題につながると主張している。同グループは2009年、イスラム寺院の塔ミナレットの新規建設を禁止するイニシアチブを成功させ、国際的批判を呼び起こした。
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