スイスの視点を10言語で

家計支援、国に「そのためのお金はない」 スイス財務相

Swiss Finance Minister Ueli Maurer
スイスのウエリ・マウラー財務相は、インフレに見舞われた消費者を支援するためのお金はないと述べた © Keystone / Gian Ehrenzeller

スイスのウエリ・マウラー財務相は、エネルギー価格の高騰に苦しむ国民の支援に国費を投入する案を否定した。

マウラー氏は25日付のドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガー外部リンクで、「ガソリンは裕福なスイスでは手ごろな価格だ」と語った。

連邦政府は4月、家計の負担軽減のための対策が必要かどうかを検討する作業部会を設置した。だが国民党(保守)出身のマウラー氏はインタビューで「そのためのお金はない」と言い切り、「インフレ率が2.5%ではそうした措置は必要ない」との見方を示した。

マウラー氏は景気減速への警戒心を鮮明にした。「不況が近づいているとみている。その深刻さは、ウクライナでの戦争がどのくらい続くかと、エネルギー価格次第だ」

制裁圧力に対抗

ウクライナでの戦争をめぐっては、スイスの銀行は対ロシア制裁を強化するよう求める圧力に抵抗すべきだとの見方を示した。

「どちらかと言えば制裁の手を緩め、『スイス・フィニッシュ』を加えずに実施せよ、と言わねばならない。スイスの銀行は、おそらく他のどこよりも厳しい制裁を課している」(マウラー氏)。スイス・フィニッシュとは、スイスの銀行に課されたバーゼル3よりも厳しい自己資本比率規制を指す。

マウラー氏は、エネルギー不足はガス火力発電所や、原子力発電所の寿命延長で補うべきだと述べた。隣国ドイツが建設中のガスターミナルにも資金援助する方針も示した。

(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

最も読まれた記事
在外スイス人

世界の読者と意見交換

ニュース

おすすめの記事

スイス鉄道、国外へ乗り入れせず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)取締役会長のモニカ・リバー会長は、自社列車で国外に乗り入れないとする同社の決定を擁護した。

もっと読む スイス鉄道、国外へ乗り入れせず
スイス事故防止協議会(BFU)によると、シートベルトの着用により、過去10年間の国内交通事故で負傷事故5700件、約650件の死亡事故を未然に防いだ

おすすめの記事

命を救う後部座席のシートベルト スイスで義務化30年

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは、30年前から車の後部座席のシートベルト着用が義務付けられている。スイス事故防止協議会(BFU)と連邦統計局の最新データによって、この安全対策の有効性が裏付けられた。

もっと読む 命を救う後部座席のシートベルト スイスで義務化30年
握手を交わすスイスのアムヘルト大統領と岸田首相

おすすめの記事

アムヘルト大統領、岸田首相と会談 FTA改定を改めて要望

このコンテンツが公開されたのは、 訪日中のヴィオラ・アムヘルト大統領兼国防相は7日、官邸で岸田文雄首相と会談し、日本・スイス間の自由貿易協定(FTA)改定というスイスの要望を改めて表明した。

もっと読む アムヘルト大統領、岸田首相と会談 FTA改定を改めて要望
UNRWAの前でたむろす子どもたち

おすすめの記事

UNRWA、「イスラエル襲撃に関与した可能性」の9人を解雇

このコンテンツが公開されたのは、 国連は5日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員9人が昨年10月7日のイスラム過激派ハマスによるイスラエル襲撃に「関与していた可能性がある」との内部調査を発表した。

もっと読む UNRWA、「イスラエル襲撃に関与した可能性」の9人を解雇
診察を受ける赤ちゃん

おすすめの記事

スイスで小児科医が不足

このコンテンツが公開されたのは、 スイス小児科医協会は医師が足りず、特に地方部で子どもが十分な治療を受けられなくなる可能性があると警告する。背景には柔軟な働き方を求める世代の増加や役所・企業の「官僚主義化」があると批判する。

もっと読む スイスで小児科医が不足
注射を打たれる男性

おすすめの記事

コロナ再流行のスイス、ワクチン不足に

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは現在、新型コロナウイルス感染症が再び流行している。それ自体はさほど深刻ではないものの、ワクチンを受けたくても薬局や診療所に在庫がない事態が発生。背景には7月初めの制度変更がある。

もっと読む コロナ再流行のスイス、ワクチン不足に
座り込む女性の横顔

おすすめの記事

スイスで人身取引被害が増加

このコンテンツが公開されたのは、 「人身取引と闘うプラットフォーム(Plateforme Traite)」は2023年、スイスで197件の人身取引(人身売買)事案を記録した。前年比で11%増加した。

もっと読む スイスで人身取引被害が増加
耳を抑える子どもと打ち上げ花火

おすすめの記事

「建国記念日に花火欠かせない」半数 スイス世論調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス人の半数が、打ち上げ花火は8月1日の建国記念日に欠かせないと考えていることが最新の調査で分かった。しかし、回答者の大多数は個人での花火打ち上げに反対している。

もっと読む 「建国記念日に花火欠かせない」半数 スイス世論調査

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部