スイス空軍の戦闘機FA18は5日、スイス北部を飛行中のエルアル・イスラエル航空機に爆弾が仕掛けられているとの連絡を受け、緊急発進(スクランブル)した。戦闘機2機は朝8時半に緊急発進した際に音の壁を破ったため、付近には轟音が鳴り響いた。
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スイスの地元警察および航空管制会社スカイガイド外部リンクによると、爆弾が仕掛けられていたとされる機体はエルアル・イスラエル航空のボーイング747。米ニューヨークのケネディ空港を出発し、イスラエルのテルアビブ空港に向かっていた。イスラエルのメディアによると同機はスイス上空を飛行後、時刻通り目的地テルアビブ空港に到着した。
イスラエル当局によると、機体から爆弾は見つからなかった。
他国の空軍も出動
エルアル・イスラエル航空はイスラエル最大の航空会社。テロの標的となる可能性が常にあるため、安全警備が厳しいことで知られている。
今回スイス空軍外部リンクが行ったような緊急発進は「ホットミッション」と呼ばれ、外国の航空機がスイスの空域を侵したり、遭難信号を発したりする場合に行われる。
スイス空軍の戦闘機は旅客機とコンタクトをとった後、同機がスイスの空域を出たことを確認してから、空軍基地へと戻った。
旅客機はスイスの空域に入る前にフランス上空を飛行。その際、フランス空軍の戦闘機が同機を同行していた。スイスを離れた後、しばらくしてブルガリアの空域に入ると、今度はブルガリア空軍の戦闘機が同機を同行したと、ブルガリア国防省が発表している。
イスラエル外務省によると、この旅客機のギャレー内部に爆弾が仕掛けられているとの情報が米国航空当局から寄せられていたという。
24時間体制
スイス空軍は最近になって24時間体勢の空域パトロールを開始。以前は日中の勤務時間に限られていた。
背景には、2年前にエチオピア航空の旅客機がハイジャックされた際、勤務時間外だったということで戦闘機が緊急発進できなかったことがある。
その反省から、スイス空軍は今年から業務を拡大。武装した戦闘機2機がいつでも出動できるよう、2020年までに態勢を整えるとしている。
(英語からの翻訳・編集 鹿島田芙美)
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