スイス連邦議会は郵便投票の手続きを国全体で統一するかどうか、議論を始めた。郵送投票はスイスで1994年に導入され、投票・選挙の9割で活用されている。
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国民議会(下院)は今月7日、国民が住民投票や選挙に参加しやすくなるよう、郵便投票に使う料金前納の返送用封筒を有権者に送る動議を可決した。動議はスイス国民党が提起し、同党や社会民主党、緑の党などから賛成109票を得た。
全州議会(上院)も可決すれば、政府が法令作りに着手する。
提案したイヴェッテ・エスターマン議員は、有権者が切手を貼る自治体では、料金前納の自治体よりも返送率が2ポイント低いという調査結果を引用。それは単なる経済問題ではないと指摘した。「0.85フラン(約95円)の切手料金の問題ではなく、多くの世帯は切手を常備していない」
個人の投資
一方、ヴァルター・トゥルンヘア連邦官房長官は下院の審議で、有権者にとって切手の購入はそう高いハードルではないと主張。国民は自らの足で市役所や投票所に封筒を持参することもできると指摘した。
「スイスの民主制度は個人の投資を基礎としている。民主主義を促進するために政府が郵便投票にお金を費やす理由はない」
官房長官は(国が)経費を共同負担することについて否定はしなかったが、投票の大半は州や地方自治体の案件であると述べた。また政府は、スイスの連邦制度において公式の投票や選挙を準備するのは州や地方自治体の責務であると書面で指摘している。
現在、料金前納の返送用封筒は、チューリヒ州やジュネーブ州など9州と、他の17州の不特定多数の地方自治体で使われている。
投票方法をめぐっては、主に在外スイス人の利便性のためにインターネット投票が検討され、試験的導入も行われてきた。だがセキュリティ上の問題を指摘する声が強まっている。
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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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「現在スイスで使用されているシステムでは、有権者が自分の1票の行方を確認する術が全くない。システムを信用するしかない」と言うのはベルン専門大学の情報社会安全研究所(RISIS)のロルフ・ヘニ教授(情報学)。
また、同研究所のエリック・デュブイ所長は次のように話す。「安全性には力を入れてきたが、初期のシステムには『認証』という重要な要素が欠けているため、自分の一票が本当に自分の意思通り反映されているかを確認する手段がない。我々はその重要性をもう何年も強調している」
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