バーゼル・シュタット準州はドイツ語圏の州として初めて最低賃金制度の導入が決まった
© Keystone / Georgios Kefalas
スイスのバーゼル・シュタット準州で13日行われた住民投票で、最低賃金制度の導入案が可決された。
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左派が提起した最低賃金を時給23フラン(約2800円)とするイニシアチブは僅差で否決されたが、時給を21フランとする政府と議会の直接的対案が53.8%の賛成票を得て可決。ドイツ語圏の州として初めて最低賃金制度の導入が決まった。
イニシアチブに対して議会と政府が提示できる対案には2種類ある。
1)直接的対案:議会がイニシアチブに対する対案として、別の案を提示する方法。イニシアチブ委員会がイニシアチブを取り下げない場合、対案もイニシアチブと同時に投票にかけられる。
2)間接的対案:議会が法律レベルの改正案、あるいは新法を提案する方法。イニシアチブ委員会がイニシアチブを取り下げない場合はイニシアチブのみが投票にかけられ、否決されれば自動的に間接的対案が可決される。
同制度の導入で、バーゼル・シュタット準州の最低賃金は1時間当たり21フランに固定される。ただ、労働協約で既に取り決められた給与、契約期間が6カ月未満のインターンシップ、主に国外で働く従業員、年間70時間未満のオンコール勤務は例外。
バーゼル・シュタット準州は、全部で26州あるスイスで5番目に最低賃金制度を導入する州となる。
スイスには全国的な最低賃金制度はない。2017年、ヌーシャテル州が全国で初めて最低賃金制度の導入を時給20フランで承認した。昨年に導入を決定したジュネーブ州の最低賃金は時給23フランと最も高い。ティチーノ州とジュラ州も既に導入済み。
国レベルでは2014年に時給22フランの最低賃金導入を求める国民発議(イニシアチブ)が投票にかけられたが、反対76%で否決された。
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