民主主義ニュースレター 10月号
読者の皆様
「投票で決めよう!」――この言葉には大きな威力があります。前向きな響きがします。最終的にできるだけ多くの投票者の意に沿う結果を出すことを目的としたプロセスとしてです。民主主義国の多くでは、政党や個人を選ぶ選挙だけでなく、個別案件をめぐる住民・国民投票もとても大きな役割を果たしています。有権者の趣向や意見が、投票という秩序あり平和的な手段で浮き彫りになるからです。
スイスでは年に3~4回、国民投票があります。9月下旬には、またしても年金制度の改革案が国レベルで投票にかけられました。これは過去70年間で何と24回目のことです。そしてご覧ください、これまで15回の改革案が否決されてきた後、ついに今回の「年金改革21」は超僅差で過半数の賛成を得たのです。これによってスイス人の定年は2028年まで原則65歳に設定されました。これまで女性は64歳で退職できました。
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物議を醸した年金改革で明らかになったように、国民投票には大変な忍耐力が求められます。しかしスイス政府は、もう1つの問題で再び忍耐を強いられることを望みませんでした。ヴィオラ・アムヘルト国防相は9月末、ウクライナで起こっているロシアによる侵略戦争を背景に、米国のF35戦闘機36機の購入契約に署名してしまったのです。購入に反対するイニシアチブ(国民発議)が成立し、国民投票が予定されていたのもかかわらず、です。翌日にイニシアチブは撤回され、国民投票は行われないことになりました。この例外的な出来事は、スイスで民主政治をめぐる議論を巻き起こしました。
ここまでは良しとしましょう。しかし最近ウクライナを占領したロシアのように、「住民投票」が強制されば場合はどうでしょうか?反対に、住民の大部分がそもそも投票を許されていない場合は?こうした疑問について、直接民主制市民権第10回世界会議(原題直接民主制のグローバルフォーラム2022)でswissinfo.chが主催したパネルディスカッション「民主主義を救うにはどうすればいい?」では、4カ国の専門家が意見を交わしました。
これについて、本ニュースレターの読者の皆様のご意見・ご感想もぜひお聞かせください。前掲の「意見交換」コーナーに投稿するか、私に直接メッセージをお寄せください。
swissinfo.ch直接民主制取材チーム・コーディネーター
ブルーノ・カウフマン
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