民主主義ニュースレター8月号
読者の皆様
今年、民主政治に「夏枯れ」はありませんでした。欧州最大の民主主義国家の1つであるウクライナに対するロシアの侵略戦争は、世界中に波紋を広げています。中国やベネズエラ、ハンガリー、トルコといった独裁政権は、ロシアによる隣国侵攻で歪んだ安全保障体制に代わる選択肢を検討しています。
それなりに民主的に物事が動く国では、自国社会が戦争にどう抗い、戦争の中でどう成長できるかという問題に直面しています。過去50年に世界で最も強固な民主主義の1つを築いてきたスイスも例外ではありません。スイスでも多くの市民が選挙・投票権を手にしていないからです。「民主主義の理論から考えると、それは『何か』を失っているということだ」――ベルンの政治学者マーク・ビュールマン教授はswissinfo.chの「インクルージョン」シリーズでこう強調しました。
歴史学者クロード・ロンシャン氏とswissinfo.chのレナート・キュンツィ記者、カルロ・ピサーニ記者は、スイスの民主主義の発展に重要な役割を果たした全国8都市を訪ねました。この「読むスイス・ツアー」を、月末にルツェルンで開かれる第10回市民権世界会議「現代直接民主制のグローバルフォーラム2022」に関心のある皆様にお勧めしたいと思います。swissinfo.chは同イベントの国際メディアパートナーです。
グローバルフォーラムでは世界中の民主主義が現在抱える問題について話し合われます。直接民主制を盛り込んだチリの新憲法制定プロセスはその1つです。チリは新憲法の草案を作るにあたって、スイスの直接民主制を参考にしたと言います。
当ニュースレターの購読者の皆様にはフォーラムに関する最新情報をお届けし、また世界の読者との意見交換にもご招待したいと思います。ぜひ議論にご参加ください。
swissinfo.ch直接民主制取材チーム・コーディネーター
ブルーノ・カウフマン
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