米国、イランの緊張が高まるにつれ、スイスの仲介役としての役割が再び脚光を浴びている。ところで中立国のスイスが他国の2国間関係に関与するのはなぜなのか。
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5日、米国の利益代表を兼任する駐テヘランのスイス大使が、イラン当局に召喚された。トランプ米大統領がツイッターに投降した一連の脅しに抗議するためだった。トランプ大統領は、米軍がイラン革命防衛隊の精鋭部隊のソレイマニ司令官を殺害したことに対し、イランが報復として米国市民や資産を攻撃するようなことがあれば、イラン国内の拠点を標的にする、とツイッターで発言した。
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イラン、スイス大使を召喚
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米国政府が3日、ソレイマニ司令官の殺害を発表するとイラン側は報復を予告。現地時間の8日未明にイラクの米軍基地に弾道ミサイルを発射した。
スイス連邦外務省は、スイス大使とイラン当局の会合が「利益代表の枠組みの中で外部リンク」行われたとし、内容については「機密」として明らかにしなかった。
スイスは1980年以来、イランで米国の利益代表を務める。1979年11月、テヘランの米国大使館が占拠され、52人の米外交官・一般市民が444日間にわたり人質になった事件を受け、米国は80年にイランとの国交を断絶した。
「2つの国が互いに紛争を宣言したとき、最初にすることは外交関係の破棄だ」。イランの元スイス大使フィリップ・ヴェルティ氏は2013年、swissinfo.chの取材にこう語った。
「2つの国が外交関係を破棄するとすぐ、その二国間関係を取り持つ必要が生じる。当事国はそれをやらないからだ。そのために求められるのが第三者の存在だ。スイスは1940年代、どの戦闘にも参加していなかったため、スイスにさまざまな利益代表を依頼することがとりわけ適切だとみなされた」
連邦外務省は、これは今も同じだと説明する。「スイスは、他国には不可能な橋をかけることが出来る。スイスはいかなる権力ブロックにも属さず、隠れた思惑もないからだ」
橋渡し役は、紛争当事者間の仲介外部リンク、また利益保護外部リンクを務める。同省は「二国間、あるいは国際紛争を解決したり、当事者が交渉を始めるよう促したりすることを目的とする」と説明する。
実際は、コミュニケーションの橋渡しだ。ヴェルティ氏は、成功には3つの条件が必要だと指摘する。 「技術的な任務が求められるため、メッセージは遅滞なく届けられる必要がある。しかも秘密は完全に守られ、メッセージに対して公平で忠実でなければならない」と話す。
また「口頭のメッセージだと、第三者によってメッセージが変わる可能性が常にある。メッセージの中にいかなる個人的感情も含んではならない」と語った。
長い伝統
いわゆる仲介役の「黄金期」は第二次世界大戦中だ。1943〜44年、スイスは35州の219件に及ぶ利益代表をさばいた。
冷戦もまた、スイスが仲介役として活躍した時代で、1973年には24件の利益代表を受けていた。しかし、それ以来、任務の数は減少。現在は7件だ。エジプト国内のイラン、イラン国内の米国、ジョージア(グルジア)国内のロシア、ロシア国内のジョージア、イラン国内のサウジアラビア、サウジアラビア国内のイランのほか、2019年6月以降はカナダ国内のイランの利益代表を務める。
スイスは自ら仲介役を提案するか、当事者の要請に基づき、なおかつ当事者全員の了解が得られれば、その任務を果たすことができる。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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