The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

外国での罰金、税額控除の対象に

UBS
スイス議会が外国での罰金支払いを税額控除の対象に加えたことで、スイスの銀行UBSの納税額は大きく変わるかもしれない © Keystone / Gaetan Bally

スイス連邦議会は、企業が外国政府から科された罰金を、スイスで納める税金から控除できるようにすることに賛成した。控除を不可とする政府案が覆された格好だ。

国民議会(下院)は2日の採決で、全州議会(上院)が可決済みの修正案を賛成108票、反対86票で可決した。春季会期末(3月20日)に上下両院で最終採決にかけられる。

修正案は①罰金がスイスの公共秩序を乱す②「納税企業が法律を守るために全ての合理的措置を講じたと信頼できる形で証明した――の二つを満たす場合、支払った罰金を経費として控除できるようにする。

国内の制裁や罰金は控除の対象外。

左派政党が強く反対していたが、勢いを欠いた。下院での採決後、社会民主党のプリスカ・ビラー・ハイモ氏は「税による補助金だ」と批判した。

政府の原案では、企業が外国政府に科された罰金を税から控除することはできなかった。上院も当初は政府案を支持していたが、昨年12月に修正案を可決した。

スイスの銀行UBSは2019年、フランス人顧客の脱税をほう助したとして仏裁判所に計45億ユーロ(約5400億円)の罰金と損害賠償を命じられた。UBSは上訴している。

下院で可決された修正案が最終的に可決成立すれば、スイス税務当局はUBSが法令を順守するために全ての合理的な措置を講じたかどうかを評価することになる。講じたと判断されれば、UBSは仏当局に支払った罰金を控除して税金を納めることが許される。

これまで、企業が罰金や制裁金などを税金から控除できるかどうかについては明確なルールが連邦レベルではなかった。州ごとに法律が異なり不確実だと批判されたのを受け、政府・議会が法定化を進めていた。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

スイス公共放送協会

おすすめの記事

スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。

もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
財布

おすすめの記事

スイスでは現金のチップが主流

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。

もっと読む スイスでは現金のチップが主流
プラタナス

おすすめの記事

プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。

もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
ひまわり畑

おすすめの記事

見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。

もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部