電子マネーが主流になり現金が使えなくなる社会が来るのを予防するため、スイスで国民投票に向けた運動が立ち上がった。
このコンテンツが公開されたのは、
市民団体「スイス自由運動」が国民投票の実施に向け、イニシアチブ(国民発議)を立ち上げた。十分な量の現金確保を連邦当局に義務付けることを提案する。また将来フランを別の通貨に置き換える場合は、国民投票にかけることも明記する。スイス国立銀行(中央銀行)の電子フラン発行計画を念頭に置いた予防線だ。
2023年2月までに有権者の署名10万筆を集めれば、国民投票にかけられる。
スイス自由運動は17日、イニシアチブの目的は他国で現金の引き出しや支払いにかかっている制限がスイスでは生じないようにすることだと説明した。
スイス自由運動のリヒャルト・コーラー代表は「現金は自由と独立、安全の象徴だ」と述べた。高齢者や信条的に電子決済を嫌う人々にとって、現金はシンプルで利用しやすい決済手段だと強調した。
広報担当のシャーリー・パッシュ氏は、オンライン決済が広がり段階的に現金が使えなくなれば、「支出や行動が常に監視される」社会への扉が開かれる可能性があると警告。それは極端なシナリオだとしても、中国の「社会信用システム」構想のようなものだと指摘した。
またITシステムのハッキングや誤動作が起これば、たちまち多くの人々が「取引を行う」という単純な行為でさえできない状態に陥る可能性があると主張した。
SNBが6月に発表した調査によると、デビットカードやクレジットカードの発行枚数、国内のモバイル決済アプリ数は増加傾向にあるが、現金は依然として多く使われる決済手段だ。回答者の97%が日常的な出費のために現金を自宅や財布に保管していると答えた。
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
おすすめの記事
スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。
もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
おすすめの記事
スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。
もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
おすすめの記事
スイスに感染症情報解析センター発足
このコンテンツが公開されたのは、
感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。
もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
おすすめの記事
ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
このコンテンツが公開されたのは、
米ヘルスケア大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、スイスでの人員削減を計画している。
もっと読む ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
おすすめの記事
「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
このコンテンツが公開されたのは、
スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペレノード氏は、再調査の必要性を強調する。
もっと読む 「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
おすすめの記事
スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
このコンテンツが公開されたのは、
スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)のブカレスト発チューリヒ便が先月オーストリアのグラーツで緊急着陸した後、客室乗務員(23)が死亡した事件で、死因は酸欠だったことが分かった。複数のスイスメディアが報じた。
もっと読む スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
続きを読む
おすすめの記事
スイス人もコロナでついに現金離れ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス人は現金好きだ。だが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で現金払いを控え、非接触型の決済に移行する人が増えている。コロナ危機が収束してからもこの傾向は続くのか?
もっと読む スイス人もコロナでついに現金離れ?
おすすめの記事
アップル、他社決済アプリのために技術改善
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの公正取引委員会は18日、米アップルが同社製品でもスイスのスマートフォン(スマホ)用決済アプリTWINT(トゥウィント)を使えるようにするべく、技術的な問題の解決を目指すことに同意したと発表した。
もっと読む アップル、他社決済アプリのために技術改善
おすすめの記事
現金を愛してやまないスイス人
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは「Cash is king(現金は王様)」との考えが強いことが、公式統計でも明らかになった。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の調査によると、スイスで行われる決済の7割は現金によってやり取りされている。
もっと読む 現金を愛してやまないスイス人
おすすめの記事
スイスでじわり広がる電子マネー
このコンテンツが公開されたのは、
現金主義のスイス人消費者も、次第に電子マネーでの支払いに慣れてきている。だが少額決済では特に現金派が圧倒的だ。
もっと読む スイスでじわり広がる電子マネー
おすすめの記事
デジタル化で後れを取るスイスの銀行
このコンテンツが公開されたのは、
先進各国と同じくスイスの銀行もデジタル化に向かっているが、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は「望ましい水準に達していない」と手厳しい。
もっと読む デジタル化で後れを取るスイスの銀行
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。