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「軍需産業への資金援助を禁止」案、スイスで国民投票へ

イニシアチブを提出
イニシアチブが6月21日、連邦内閣事務局に提出された Keystone

軍需品の製造企業に一切資金援助しないことを求めたイニシアチブ(国民発議)が、スイスで近く国民投票にかけられることになった。連邦内閣事務局が7月、国民投票実施に必要な署名数を確認したとして、イニシアチブを受理した。

 連邦内閣事務局によると、有効署名は10万4612筆。イニシアチブが連邦政府に受理されるためには、イニシアチブの立ち上げから18カ月以内に最低10万筆の署名を集めなければならない。

投票の期日は未定

 イニシアチブは2017年4月、市民グループ「軍隊なきスイスを目指す会外部リンク(GSoA)」が立ち上げた。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、スイスのファンドや年金基金による国内外の軍需産業への投資を禁止する内容だ。

 軍需品製造の売上高が全体の5%以上を占める企業に対する信用貸しや融資、寄付は違法とする。軍需産業が発行した株式や社債の取得も同様だ。

リアクション

 GSoAは、イニシアチブが受理されたことを歓迎。支持者の一人で、左派・緑の党青年部共同代表のマヤ・ハウス氏は「軍需品を製造する企業への資金援助問題について、有権者が最終的に是非を判断することが出来る。この点について多くの有権者が喜びを感じている」と語った。

 同団体は2009年にも、武器輸出を全面的に禁止するイニシアチブを提起し、国民投票に持ち込んだが、3分の2以上の反対で否決された。

 今回のイニシアチブは、武器輸出に関する議論の広がりを受けて出されたもの。スイスのヨハン・シュナイダー・アマン連邦経済相は今年初め、武器輸出の規制緩和を検討中だと延べた。  

 スイスは昨年、64カ国に計4億4660万フラン(約490億6千万円)相当の軍需品を輸出。2016年比で商品輸出全体は1%減少したが、軍需品輸出額は8%増加した。

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