スイスと米国が合意し、先月始まったイランへの人道支援物資の貿易について、イランのザリフ外相は3日、「米国の善意を示すものではない」と語った。現地メディアが報じた。
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イラン学生通信社外部リンクなどによると、ザリフ外相は記者団に「小さな一歩だ。スイス政府の努力に感謝する(…)しかし、この貿易チャネルは米国の善意を示すものでは全くない」と述べた。
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スイスと米国は先週、米国の経済制裁下にあるイランに対し、スイス製品の輸出支援を試行的に始めると発表。ザリフ外相の発言はこれを受けたものだ。
スイスは2018年からこのプロジェクトを推進してきた。経済制裁に違反しない範囲で、イランに必要な援助物資を確実に届けられるチャネルを目的としている。
スイス連邦政府は30日、第一陣として、抗がん剤のほか臓器移植用の医薬品230万ユーロ(2億7600万円)相当の輸出に対する支払いが行われたと述べた。
駐スイスのエド・マクマラン米国大使は31日、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)に対し、このプログラムが 「歴史上初めて、援助が確実にイランの人々に届いている。それも、政権に横領されることなく」と高く評価した。
連邦経済省経済管轄局(SECO)のアーウィン・ボリンガー氏は、スイス政府がこのチャネルを「誇りに感じ、うれしく思う」とコメント。このチャネルを拡大し、スイス企業がイラン国内で安全にビジネス展開ができるシステムも間もなく完成すると語った。
ボリンガー氏は「米国とは明確にすべき技術的・法的問題が残るが、それもほんの数週間で解決できる」との見通しを示した。
米国は2018年、イランとの核合意から離脱。その後イランへの経済制裁を再開・強化した。食糧、医薬品、その他の人道支援物資は制裁の対象外。
しかし米国の経済制裁の対象は原油から海運、金融活動にも広がる。このため一部の外国の銀行が、人道的物資の取引も含めイランとの取引を避ける事態が発生している。イラン国内ではこれに対し、大規模な抗議活動が起こっている。
スイスは米国とイランが国交を断絶した1980年以来、両国関係の仲介役を務めている。
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