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米ロ首脳会談「軍縮交渉の出発点に」スイス大統領

二国間会談
ジュネーブで行われたロシア・スイスの二国間会談で、握手を交わすスイスのギー・パルムラン連邦大統領(中央右)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(中央左) Keystone / Denis Balibouse / Pool

スイスのギー・パルムラン連邦大統領は16日会見し、ジュネーブで行われた米ロ首脳会談が新たな軍縮交渉の「出発点」となることを期待していると語った。

パルムラン氏は16日夜の記者会見で、今回の首脳会談が「関係する両国と全世界にプラスの影響を与える」ことを望んでいると述べた。

首脳会談後の共同声明で、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は、軍備管理とリスク軽減に取り組んでいくことを表明。パルムラン氏はこれを「最初の前向きなシグナル」だと述べた。

米ロ首脳会談は 「建設的」かつ実用的なものだったという。バイデン氏は記者団に対し、両大統領は戦争のリスクを軽減するため「軍備管理措置にあたり、我々が講じるべき次のステップ」について詳細に話し合ったと語った。

バイデン氏はまた、将来の軍備管理とリスク軽減措置の基礎を築くため、両国の外交官と軍事専門家が「戦略的安定対話」の場で協議していくと述べた。両国はまた、サイバーセキュリティに関する会合を開くことや、それぞれの大使を相手国の首都に戻すことなどに同意し、その他の問題については見解の不一致を認めた。

スイスとロシアの二国間会合

パルムラン、プーチン両氏は米ロ首脳会談後、スイスのイグナツィオ・カシス外相とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と共に二国間会談を行った。

会談では、スイス側はウクライナ情勢に対する「平和的な」解決を求めた。ロシアがアルメニアとアゼルバイジャンの間を仲介するナゴルノ・カラバフでの情勢のほか、イランの核問題についても議論した。

パルムラン氏は、スイスは今後、米ロ間の捕虜交換の仲介役を務める用意があると述べた。バイデン氏は首脳会談で、ロシア国内で投獄された米国市民の問題を提起したとみられる。パルムラン氏は、妥協点が見つかると信じていると述べた。

パルムラン氏は会見で「我が国のDNAの一部である仲介役(としての役割)を提供した」と語った。「米国との間で開始されたプロセスの具体的な仲介について、私たちは詳細は議論しなかったが、スイスが利用可能であることは明らかだ」

スイスとロシアの二国間会談で、プーチン大統領は自国への制裁措置と新型コロナウイルス感染症ワクチンに関する協力の重要性について、懸念を表明したと報じられている。

スイス側はまた、ロシアとの今後の経済交流における「大きな可能性」を改めて強調した。ロシア市場には約200のスイス企業が参入している。

プーチン氏は「協力の面では、多くの可能性がある」と語った。

パルムラン氏は15日夜、バイデン氏と二国間会談を行った。貿易関係のほか、イランにおけるスイスの米国の利益代表としての役割などについて協議した。

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