ジュネーブにある赤十字国際委員会(ICRC)の本部
Martin Ruetschi
赤十字国際委員会(ICRC)は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による財政難を理由に95の役職を削減する。60人が影響を受ける見通しだ。
このコンテンツが公開されたのは、
ICRCは18日、2020年の財政赤字が130万フラン(約1億4300万円)に上る見通しだと公表。現在、総額2500万フランのコスト削減計画を策定中で、その中に人員削減策も含まれる。ICRCによると、95の役職を削減し、60人が影響を受ける。ただこの中には退職者も含まれるという。
ICRCの人員削減計画は、フランス語圏のスイス公共放送(RTS)が報じた。RTSによると、ICRCは年間予算22億フランの資金調達が困難になっている。パンデミックにより人道援助の必要性が高まる一方で、資金源の寄付金が減少しているという。
現在、ICRCのジュネーブ本部には1千人、国外では2万人のスタッフがいる。
ICRCの広報担当はRTSに対し、「我々は非常に困難だが必要な決断に直面している。スタッフの懸念を過小評価せず、失業を最小限に抑えるよう努力する。関係するスタッフを最大限支援する」と話した。
また「こうした措置を取ることによってのみ、私たちは武力紛争の犠牲者の支援・保護が続けられる。ICRCは約160年前の創設以来、多くの世界的危機に対処してきた。我々の価値観と原則に忠実であり続けながら、不確実性の中でこの危機も克服できると確信している」と述べた。
国際機関の財政問題
他の国際機関もパンデミックで財政難に陥っている。国連ジュネーブ事務局は「極めて困難な財政状況」に直面していると言う。
同事務局は「一部加盟国による分担金の不払いや支払いの遅延が積み重なり、深刻な流動資金不足につながっている。このため国連は組織全体で資金調達のレベルや時期に制限をかけ、採用凍結せざるを得なくなった」と説明している。
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
ジュネーブ国際会合の取りやめ相次ぐ 新型コロナ拡大で
このコンテンツが公開されたのは、
モーターショーや映画祭、見本市、会議……スイスでは新型コロナウイルスの拡大で様々なイベントが突然の中止を余儀なくされている。国際機関が密集するジュネーブでは、会合が次々と中止・延期に追い込まれている。
もっと読む ジュネーブ国際会合の取りやめ相次ぐ 新型コロナ拡大で
おすすめの記事
ビエリICRC代表が朝鮮戦争開戦時に見たもの
このコンテンツが公開されたのは、
1950年6月に勃発した朝鮮戦争は未だに終戦に至っておらず、南北の分断は続き、冷戦以降も超大国を軸とした国際的な緊張は途切れることがない。ジュネーブにある赤十字国際委員会(ICRC)のアーカイブ資料からは、70年前の朝鮮戦争の状況を韓国のICRC代表だったフレデリック・ビエリの見解で辿ることができる。
もっと読む ビエリICRC代表が朝鮮戦争開戦時に見たもの
おすすめの記事
1949年、ジュネーブ諸条約(四条約)までの長い道のり
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは70年前、小さな外交クーデターを成し遂げた。スイスは枢軸国との関係を維持していたことで第二次大戦後、ある種の孤立を経験した。しかし1949年、ジュネーブ条約改正のため開かれた主要外交会議の調整役にこぎつけた。この改正は国際人道法の発展において極めて重要なステップだった。
もっと読む 1949年、ジュネーブ諸条約(四条約)までの長い道のり
おすすめの記事
赤十字がリアルな戦争ゲームを開発 そのわけは?
このコンテンツが公開されたのは、
人道支援組織の赤十字国際委員会(ICRC・本部ジュネーブ)が戦争シューティングゲームを開発している。多くの人にとっては耳を疑うニュースだが、このゲームの目的は人を撃ち殺すことではなく、「戦争にもルールがある」と知ってもらうことだ。
もっと読む 赤十字がリアルな戦争ゲームを開発 そのわけは?
おすすめの記事
原爆投下後の広島を救ったスイス人医師 マルセル・ジュノー博士
このコンテンツが公開されたのは、
1945年8月6日、広島市は原爆によって、一瞬で焼け野原と化した。その荒れ果てた地に初の外国人医師として医薬品を届け、被爆者の治療に当たったのがスイス人のマルセル・ジュノー博士(1904~61年)だった。
もっと読む 原爆投下後の広島を救ったスイス人医師 マルセル・ジュノー博士
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。