2019年の総選挙には、過去最多の女性候補者が出馬している。だがメディアに登場する回数となると話は別だ。チューリヒ大学の研究で、女性候補者の露出頻度が低くなっていることが明らかになった。
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今月20日に迫ったスイス連邦議会総選挙で、環境に次いで大きな争点になっているのが女性だ。今年6月の女性ストライキに限らず、メディアでも政治における女性の活躍は大きなテーマになっている。
選挙キャンペーン「ヘルヴェティアが呼ぶ!外部リンク」でもこのテーマは大きな意味を与えられている。スイス最大の女性団体「F同盟」やリベラル派政治団体の「オペレーション・リベロ」は、共同で女性候補者の擁立活動を展開した。
実際に今回の総選挙に出馬する女性候補者の割合は過去最高だ。全国議会(下院)では41%で、前回の2015年総選挙の35%を大きく上回る。
だが選挙報道ではどうか?男性候補者に比べて女性候補者の紙・オンライン媒体への登場比率は低い。チューリヒ大学デジタルデモクラシー研究所の政治学者による調査外部リンクで明らかになった。
チューリヒ大はスイスメディアデータバンクを使い、2019年1月以降に国内政治や選挙戦について書かれた紙・オンライン媒体を調査。各候補者が所属政党名と共に登場する頻度を数えた。
その結果、下院候補者のうち女性は男性よりも登場する頻度が低いことが分かった。メディアに名前が出たり、発言が引用されたり、人物像が描写されることは男性に比べて少ない。特に国民党や急進民主党ではその傾向が強い。急進民主党では候補者の42%が女性だが、メディアに登場した候補者の女性比率は30%だった。
キリスト教民主党でも差は大きく、候補者の女性比率は40%だが、メディアに登場する候補者の73%は男性だ。政治で女性が活躍できない原因の一つには、メディアのこうした姿勢がありそうだ。
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(独語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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