選挙ポスターにイモムシは不適切? 国民党に批判殺到
スイスの保守系右派・国民党の選挙ポスターが話題を呼んでいる。18日に公開されたポスターは、スイス国旗を付けたリンゴがイモムシに食い荒らされている画像だ。イモムシで同党が敵対するものを表現しようとしたものだが、党内からも疑問の声が上がっている。
ポスターは10月20日の投票日に約2カ月先だって公開された。5匹のイモムシは欧州連合(EU)の旗やライバル政党のイメージカラーをまとう。ドイツ語版には「左翼といいヤツがスイスをダメにする?」というスローガンが書かれている。
Unsere neuen Kampagnenplakate sind da: Sollen Linke und Nette die Schweiz zerstören? Lieber #SVPwählen外部リンク! https://t.co/e9qZ5d4vXC外部リンク #freiundsicher外部リンク #WahlCH19外部リンク #Wahlen19外部リンク pic.twitter.com/nV1RI7dfOV外部リンク
— SVP Schweiz (@SVPch) August 18, 2019外部リンク
フランス語版のスローガンは「我々のリンゴにイモムシ?結構です!」と少し表現を和らげている。
Notre nouvelle Camapgne d’affichages est là: Des vers pour notre pomme? Non merci! #VotezUDC外部リンク #libreetsûr外部リンク https://t.co/5VZRtIaDtc外部リンク pic.twitter.com/SRUNObx2Lb外部リンク
— UDC Suisse (@UDCch) August 18, 2019外部リンク
「暗い時代を思い出させる」
ポスターの公開後、独語圏のソーシャルメディア上では激しい批判の嵐が巻き起こった。一部の人は画像が粗野で気味悪く、発想力を欠くと批判する。
またナチスのプロバガンダと「面白味のない」共通点があると指摘する人々もいる。ツイッターでは、1930年代に寄生虫やイモムシのたかるリンゴを描いてユダヤ人に人間性はないと触れ込んだ歴史を指摘する声が相次いだ。
「とても、とても暗い時代を思い出させる」。国民党の新ポスターのツイートにはこんなコメントがついた。「敵対するものを動物、あろうことか虫けらに例えるのは、ナチスのプロバガンダと同じ臭いがプンプンする」とのコメントもあった。
Daher kommt eure Ideologie.. Aifach nur no gruusig #SVP外部リンク #rechtsextrem外部リンク #abwählen外部リンク #wahlen19外部リンク #WahlenCH19外部リンク pic.twitter.com/jhuHwQoIOj外部リンク
— René Stauffenegger (@elflautin) August 18, 2019外部リンク
Erinnert an sehr, sehr dunkle Zeiten. 濫 pic.twitter.com/0DFpdQDTza外部リンク
— til morrow (@tilmorrow) August 18, 2019外部リンク
Bravo und ihr wundert euch dass ihr mit der NSDAP verglichen werdet?
— Rico Fluor (@djmomo68) August 18, 2019外部リンク
Politische Gegner als Tiere, ja gar Gewürm zu bezeichnen, stinkt so schwer nach Nazi-Propaganda, dass man es sogar 3 Meilen gegen den Wind noch riecht!
Das mit den Würmern, woher das wohl kommt?#SVPHetze外部リンク pic.twitter.com/Gg7Qnuy6Wk外部リンク
「まじめに相手する人いる?」
批判は他の政党からはもちろん、国民党内部からも上がっている。連邦・州議会の議員たちはポスターが「見苦しい」「やりすぎ」「逆効果」だと酷評する。国民党のクラウディオ・ザネッティ議員は「この画像には左翼もいいヤツもいない。いるのは根絶されるべき虫けらだ」だとツイートした。「この信じがたい画像から何を想像しますか?(国民党の)相手をまじめにしてくれる人がいますか?」
Das auf dem Bild sind weder Linke noch Nette. Das ist Gewürm, das man ausrottet. Was versprecht Ihr euch von dieser unsäglichen Bildsprache? Wer soll einen da noch ernst nehmen?
— Claudio Zanetti (@zac1967) August 18, 2019外部リンク
連邦議会のトーマス・フルター議員はニュースサイトのNau.chで、画像が「場違いで鈍感」だと語った。「純粋なる悪口」は「スイス流」にそぐわないとして、メッセージが不適切だと話した。
元シャフハウゼン州支部長のペンティ・エリク氏はアルベルト・レシュティ党首に直談判。「アルベルトさん、シャフハウゼンではこういったポスターをやめたから35%の議席を獲得できたのだ。超党派委員会や比例代表のことも考えて」とツイートした。
Lieber Albert. In SH haben wir auch deshalb einen SVP-Wähleranteil von 35%, weil wir auf solche Plakate verzichten. Denk an all die überparteilichen Kommissionen & Listenverbindungen – und stoppe dieses Sujet. Schöner Sonntag noch. #AlbertRösti外部リンク @SVPch外部リンク pic.twitter.com/81EVCgAyPW外部リンク
— Pentti Aellig (@paellig) August 18, 2019外部リンク
フランス語圏のスイス公共放送テレビ(RTS)が取材した地元の国民党議員は、ピエール・グラン連邦議員を除いてさほど批判的ではないようだ。グラン氏だけはメッセージが「ちょっとショッキングだった」といい、選挙ポスターはできればポジティブな印象を与えるべきだと主張した。
「美しいスイスのリンゴがむしばまれる」
ドイツ語圏の日曜紙ターゲス・アンツァイガーが18日付の記事で、国民党のアルベルト・レシュティ党首はスイスが直面する脅威に焦点を当てたかったにすぎないとポスターを擁護した。特に「EUとの枠組条約」や「過剰な気候議論」を念頭に、「美しいスイスのリンゴがむしばまれている」と訴えた。
ベルン出身のヴェルナー・ザルツマン連邦議員は同記事で、批判はイモムシのイメージを誤解していると受け流した。描かれているのはイモムシではなく「自然の循環に属する生き物」だという。
国民党の選挙運動が物議を醸すのは今回が初めてではない。2007年には黒い羊の看板が人種差別的だと批判された。2009年にはイスラム教の尖塔ナレットに反対するポスターが国内各地で締め出しをくらった。
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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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