舛添氏の辞職発表 スイス紙「この件で日本人のイメージがさらに傷つけられた」
舛添要一氏が15日、東京都知事の辞任を表明したことについて、スイスの有力紙NZZは分析記事を掲載。「日本で最も有望な政治家の一人で、東京五輪開催に力を入れていた」と同氏を紹介する一方、政治資金の公私混同問題で「日本人のイメージをさらに傷つけた」と評している。
「日本の首都の長であり、日本で最も力のある政治家の一人である舛添氏が水曜日、辞職を表明した」。NZZは冒頭部分でこう記述し、これまで辞任をかたくなに拒んでいた同氏が辞職を提出する決め手となった理由の一つに、自民党からの支持が得られなくなった点を挙げる。「自民党にとって、舛添氏への批判が数週間後の参院選にひびくリスクが大きくなりすぎた」(NZZ)
元々は学者であり、テレビ番組のコメンテーターとして有名になった舛添氏は、首相候補に挙げられることもあったと、NZZは紹介。趣味の芸術品を公費で購入し、家族旅行の旅費を出張費として計上するなど、公私混同があったとされる問題に関し、舛添氏は第三者の弁護士に調査を依頼して身の潔白を証明しようとしたが、「日本国民は資金の不正使用に過剰に反応した。舛添氏は何度も謝罪はしたが、(心から謝罪しているのかがわかりにくく)態度があいまいだったため、人々の不満はさらに高まった」とNZZは説明している。
東京五輪への影響懸念
リオデジャネイロ五輪が間近に迫った最中に、五輪の次期開催地である東京の都知事が辞職することは避けたかった舛添氏だが、「同氏の辞職は東京五輪にまで影響が残るだろう」とNZZはみる。
また、日本がすでに東京五輪のエンブレムの盗用問題や、五輪招致で汚職をしたとの疑惑でイメージが悪くなっている点に触れ、「エネルギッシュな都知事にまつわる今回のスキャンダルは、五輪関連ですでに傷ついた日本人のイメージをさらに傷つけるだろう」と続け、次のように締めくくる。
「舛添氏の後任が選ばれるのは7月末か8月初旬とされる。その後任が任期を全うするならば、2020年夏に開催される五輪の期間中に、都知事選が行われることになるだろう」
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