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酒樽の鏡開きで、日本・スイス150周年をキックオフ

Keystone

日本・スイス国交樹立150周年の諸行事の幕開けにスイスのベルンで25日、日本大使館主催の公式レセプションが開催された。元宝塚月組組長の越乃リュウさんが朗々と両国の国歌を歌い上げた。その後、日本の前田隆平駐スイス大使とスイスのアラン・ベルセ内務大臣は、両国の友好溢れる150年の歴史と今後のさらなる交流を願い、小槌を振り上げ酒樽を割った。

前田氏は、スピーチで150年前の日本・スイス修好通商条約の締結や岩倉使節団が最後の滞在地スイスで多くを吸収したことに触れた。地理的にも遠く人口や国土の大きさでは異なるが、山国で資源に乏しく、勤勉さで国を発展させたことなど、これほど類似点の多い国も少ないと語り、将来においても相互理解を願った。

一方のベルセ氏は、当時のスイス使節団がすぐには同条約の締結にこぎつけなかったこと、交渉のための1年の滞在は決して無駄ではなかったことなどを日本語で数分スピーチ。会場はシーンと静まり返り、終わるや割れるような拍手が起こった。後のインタビューで「英語でもよかったが、日本に敬意を表したいと思い日本語を選んだ」と語っている。

ベルセ氏は、前田氏と同様スイスと日本の類似点に触れ、「勤勉さなどもあるが、ある種、会社の組織面でも似通ったところがある。また、両国民の価値観が似ている」と話した。今後も、「今まで築き上げられた関係をそのままさらに深めていくことが重要だ。それは経済関係はもとより文化面でも同じだ」と語り、150年前の外交団長、エメ・アンベールが日本文化を考察した本『幕末日本図絵』をスイス政府からの贈り物として前田氏に手渡した。

会場ではその後、日本酒の解説ビデオが流れた。前田氏は「今後も両国の相互理解が礎。そのためにも、日本の音楽と酒がキックオフイベントに一番ふさわしいと考えた。特に日本酒はワインに匹敵するほど多種。もっとスイスの人にその魅力を味わってもらいたい」と語った。

次いで箏に鼓の演奏が行われた。榎戸二幸さんの箏の曲は松任谷由美の「春よ、来い」。伝統楽器に現代の曲。それに麻生花帆さんの鼓が「パーカッションの合いの手」のように入り会場を盛り上げた。

ホスト役の前田大使夫人も、着物と帯のデザインで多くの来賓の目を引いた。帯は、前にエーデルワイスと150周年のロゴが、後ろのお太鼓にマッターホルンの山が織り込まれたもの。(残念ながら本記事には掲載されないが)、スイスの写真エージェンシーKeystoneのカメラマンもその姿を見逃しはしなかった。(写真 :Keystone、文 :里信邦子)

 

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