スイスのイグナツィオ・カシス外相は17日、サンモリッツで開催されたクリプトファイナンス会議外部リンクで、ブロックチェーンや金融技術の最新のイノベーションが、危機にある地域への人道支援に役立つと語った。
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カシス氏は、人々を金融サービスにつなぐことは、衛生、きれいな水、避難所を提供することと同じくらい重要だと語った。
会場に集まったブロックチェーン専門家や投資家に向け、カシス氏は「現在、支援を必要とする何百万人もの人々が、金融サービスプロバイダーを通じ、ATMカード、モバイルマネー、電子バウチャー、ブロックチェーンソリューションなどの手段を介して人道的支援を受けている」と述べた。
「今日の全世界における人道支援の約16%は、現金と電子バウチャーの形で届けられている。従来の人道支援よりも効率が良い場合が多い」
カシス氏はまた、1990年代に、危機にある地帯での現金送金を先駆的に行ったのはスイスの人道支援機関外部リンクだと述べた。スイスはこれまで、シリアや昨年11月の地震で大きな被害を受けたアルバニアなどで30件の支払い事業を実施。被害者は災害発生後8日以内には現金を引き出すことができた。
カシス氏は「また(新しい金融技術は)被害者がいつ、どこで、どのように自身の基本的ニーズを満たすか、自由に選択できる」とメリットを語った。
カシス氏は、代替的なモバイル決済ソリューションの出現が、今後、人道援助の財政面でますます重要な役割を果たすになると考えている。サハラ以南のアフリカの成人の約90%は携帯電話ネットワークにアクセスでき、地元に銀行支店がなくても、オンラインで金融サービスを使える状況にある。
会議では使節団がカシス氏に対し、ブロックチェーンのスタートアップ企業がスイス国内で既存の銀行サービスを受けにくい現状について、説明を求めた。カシス氏はスピーチの後、swissinfo.chに対し、解決策を見出すには、企業が作り出している技術の力を信じることだと語った。
カシス氏は「ブロックチェーンには、従来の金融セクターの枠を超えた銀行サービスへのアクセスを提供することにより、金融システムを改善できる可能性がある」とし 「銀行システムもまた、既存の価値を打ち砕くようなテクノロジーがもたらす試練に対応するため、自らを改革していく必要がある」と語った。
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