閣僚人事、ベルセ新閣僚は内務大臣に
12月14日に閣僚選挙が終わり、新内閣は16日、新しい人事について協議した。その結果、退任する社会民主党(SP/PS)のミシュリン・カルミ・レ氏が担当していた外務省は、新年から急進民主党(FDP/PLR)のディディエ・ブルカルテール現内相が受け持つことになった。
社会民主党の新閣僚アラン・ベルセ氏は、ブルカルテール氏から内務省を引き継ぐ。そのほかの人事異動はない。
閣僚選挙後の人事異動では、古参から順番に好みの省を選んでいく。新閣僚は残り物に甘んじるしかない。政府報道官のアンドレ・シモナッツィ氏は記者会見で人事異動について発表した際、「決定は短い時間で終わり、終始和やかな雰囲気だった」と報告した。
困難な任務
ブルカルテール氏は2009年の内閣入り当時から内務大臣を務めているが、内務省はそれ以前からこれまで11年間にわたって急進民主党員の閣僚が率いてきた。同省には保健医療分野も包含される。
今回、社会民主党のベルセ氏が内務省を担当することになり、スイス健康保険協会(Santésuisse)はこの人事を「新風が吹き込む」と歓迎した。しかし、行政専門大学(IDHEAP)のアンドレアス・ラトナー教授は、ベルセ氏を待ち受けているのは困難な任務だと憂慮する。
その中の一つに、医療の統合化プロジェクト「マネージド・ケア(Managed Care)」がある。医療機関を統合し、さまざまな治療機関の協力体制や調整を合理化するのが目的だ。
同プロジェクトは7年越しの協議の末、今年9月に連邦議会で承認された。しかしレファレンダムが起こり、ベルセ氏の出身党、社会民主党もこのレファレンダムを支持している。
そんな中、社会民主党はベルセ氏の内務大臣就任を次のように歓迎した。「彼の指導の下、この先の数カ月間、あるいは数年間で重要な戦略的決定が行われる。彼はスキルもノウハウもあり、また内務省をうまく率いていく天分も持っている。社会に受け入られる医療政策および社会政策を行ってほしい」
重要な外交
「定年退職」するカルミ・レ外相は2002年の入閣以来外務省を率い、「活発な中立」と自らが呼ぶ政策で外交を改めて重要視し、広く信望を得た。
ラトナー氏は、ブルカルテール氏が外務省に異なったスタイルを持ち込むと予想しながらも、これまでの路線に大きな変化はないと確信する。
「活発な中立とは呼ばないかもしれないが、援助できるところではそれを続け、他国とのつながりも存続させてスイスを孤立させないように努めるだろう」
ブルカルテール氏が在籍する急進民主党もまた18日、声明文で次のように発表している。「ヨーロッパが債務危機に見舞われている現在、またアジアや南米などの新興国が急成長している現在、スイスの外交は非常に重要だ。(中略)ブルカルテール氏は外務大臣として、欧州連合(EU)との2者間関係を強化するのみでなく、ヨーロッパの外の新興国との関係もより深めるという重要な任務を果たしてくれるはずだ」
(英語からの翻訳・編集、小山千早)
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