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集約畜産の禁止、国民投票で否決の見込み 選挙前世論調査

高齢者
スイス有権者の過半数が25日の国民投票で賛成票を投じれば、スイスの女性の定年は男性と同じ65歳に引き上げられる Keystone/Christof Schürpf

25日の国民投票に向けて実施された世論調査で、家畜を大規模・密集して飼育する「集約畜産」の禁止案は支持を失いつつあることが分かった。年金改革の賛成派も失速しているが、過半数を得て可決される公算が大きい。

源泉徴収税の廃止案も25日の国民投票で可決される見込みが高まっている。来年秋に予定される議会総選挙での左派政党の敗北を予兆する。

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動物愛護団体や左翼政党が提起した集約畜産禁止イニシアチブ(国民発議)は、一定の敷地で飼育できる家畜数の上限をより厳格にするよう求める。国際的にも大きな関心を集めている。だが今回の世論調査によれば、国民投票で過半数の支持を得られない見込みが濃厚だ。

調査を実施したgfs.bern研究所のルーカス・ゴルダー共同代表は「世論調査の結果は、イニシアチブがほぼ確実に否決される可能性が高いことを示す」と解説する。

同氏によれば、スイスの動物保護規制は既に十分厳しいというのが反対派の主な理由。

特に中所得者層が反対する傾向がみられる。一方、男性に比べ女性の間で賛成派が多いという。

年金改革への支持堅調

年金改革でも賛否に男女差が見られる。スイス年金制度の第1の柱である老齢・遺族年金制度(AHV/AVS)の収支を安定させるため、①女性の定年年齢を64歳から65歳に引き上げ②付加価値税(VAT)を引き上げ―の2件が投票にかけられる。

gfs.bern研究所の政治学者マルティナ・ムーソン氏は、「男女差は記録的な大きさに開く可能性がある。年金改革の直接的な影響を受けるのは明らかに女性だからだ」と話す。

先月19日に発表された第1回世論調査では反対派が優勢だったが、改革への支持はなお堅調だという。「多くの人は既に意思を固めていたため、(反対派の)投票キャンペーンは大きな変化をもたらさなかった」(ムーソン氏)

ムーソン氏によると、左派の有権者の投票率が上がれば土壇場で逆転する可能性もある。「ただし、かなりの割合の左派有権者が改革案に賛成し、支持政党を無視していることは注目に値する」という。

労働組合やその支持政党である社会民主党、緑の党は、過去3年で最も重要な政治課題の1つとされている年金改革案に反対し、議会の決定を差し止めるためのレファレンダム(国民表決)を提起した。

税制改革は拮抗

源泉徴収税改革に対し左派が立ち上げたレファレンダムについては、世論調査でも賛否が拮抗している。

ムーソン氏は現状に「不確定要素が多い」とする。賛成と反対の差は3ポイントで、回答者の10人に1人は賛否を決めかねている。「草の根を動員できるかどうか」(ムーソン氏)が勝敗を決めるとみられる。

世論調査では女性の大多数が反対姿勢を示した。スイスの政治で男女差がみられるのは珍しいことではないが、ムーソン氏は前例のないほど顕著な差が現れる可能性があるとみる。

全2回の最終回となる今調査は、全国・全言語地域と在外スイス人を対象に、有権者8642人から有効回答を得た。調査方法はオンライン調査と固定・携帯電話による聞き取り調査の併用。期間は8月31日~9月7日。標準誤差は±2.8%。

swissinfo.chの親会社であるスイス放送協会(SRG SSR)の委託を受け、gfs.bern研究所が実施した。

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英語からの翻訳:ムートゥ朋子

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