The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

スイスのブロックチェーン企業、ロヒンギャを支援

ロヒンギャの母子
公式の身分証明書がなければ、ロヒンギャの難民は国による支援を受けるのが難しい Keystone

スイスの身分証明システム企業「プロシビス(Procivis)外部リンク」は4日、非政府組織(NGO)と連携し、ミャンマーから逃れた350万人のイスラム系少数民族ロヒンギャにブロックチェーン技術を使った身分証明書を配布すると発表外部リンクした。ロヒンギャの基本的な人権を守り、外国に身を寄せざるを得ない人々に必要な支援が届くシステムを築く。

 ロヒンギャの支援をするNGO「ロヒンギャ・プロジェクト外部リンク」は、ブルマ(現ミャンマー)政府が国籍法を制定した1982年以降、ロヒンギャを取り巻く状況は悪化するばかりだと訴える。ロヒンギャはこの法律により国籍を剥奪され、国から一切の書類が発行されなくなった。

 ロヒンギャ・プロジェクトの共同創業者で理事長のムハンマド・ノーア氏は、4日の共同声明で「私自身もロヒンギャであり、無国籍ということがどんな状態なのか、よく理解している」と訴えた。ロヒンギャにとって安全な電子身分証明書は「単に持っていれば得するというレベルではなく、必要不可欠なもの」と位置づけ、「もしロヒンギャが無国籍になった1982年時点でこうしたものが発行されていたら、今抱えている多くの苦難に直面せずに済んだだろう」と力説した。

 声明では、ロヒンギャ難民は現在、公的な身分証明者がないため「政府による支援の受給や地域社会に溶け込むことが出来ない」という。

 プロシビスの運営するシステムでは、五つの手順を踏めばロヒンギャに電子身分証明書が発行される。同社は「ロヒンギャ・プロジェクトとの連携は、安全な電子証明書を世界中に供給するというプロシビスの幅広なビジョンを礎とした、初めての非営利の取り組みだ」とコメントした。

 世界銀行によると、世界には身分を証明できない人が11億人いる。世銀の「開発のための身分証明イニシアティブ(Identification for Development Initiative)外部リンク」は、国連が「持続可能な開発目標(SDGs)」に定めた「2030年までに、すべての人々に出生登録を含む公的な身分証明を提供する」という項目の達成を目指している。

おすすめの記事
ヨルダンのアルザック難民キャンプに暮らすシリア難民

おすすめの記事

ブロックチェーンの活用、国際機関やNGOにも拡大

このコンテンツが公開されたのは、 「インターネット以来の大革命」と呼ばれるブロックチェーン技術に注目するのは金融業界だけではない。国際機関や非政府組織(NGO)もその活動目的を達成するため、ブロックチェーンの活用に乗り出している。

もっと読む ブロックチェーンの活用、国際機関やNGOにも拡大

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

セメンヤ

おすすめの記事

欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」

このコンテンツが公開されたのは、 欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。

もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
スイス公共放送協会

おすすめの記事

スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。

もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
財布

おすすめの記事

スイスでは現金のチップが主流

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。

もっと読む スイスでは現金のチップが主流
プラタナス

おすすめの記事

プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。

もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
ひまわり畑

おすすめの記事

見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。

もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部