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3案件とも見通しは不透明、諜報活動強化新法は否決の可能性も

3案件の中では、諜報活動強化新法の支持率が多少減少した Keystone


9月25日に行われる国民投票で問われる三つの案件に関し、スイス放送協会(SRG SSR)から委託された世論調査機関gfs.bernが14日、2回目の世論調査結果を発表した。それによると、3案件とも国民投票結果の見通しは不透明だ。特にテロに備えるための諜報活動強化新法は、今回の調査では過半数の支持を得ているものの、実際の投票では否決される可能性もある。

 もし国民投票が今行われていたら、「老齢・遺族年金の1割増しを求めるイニシアチブ(国民発議)」は否決、「グリーン経済推進イニシアチブ」はわずかの差で可決、そして「諜報活動を強化する新法」は過半数の賛成で可決されたことだろう。

老齢・遺族年金の1割増しを求めるイニシアチブ

 国民1人当たりのGDPが世界第3位にも関わらず、65歳以上の人の約16%が貧困層にあるといわれるスイス。こうした格差社会の中、年金の基本をなし「第1の柱」といわれる老齢・遺族年金を1割増加させるよう求めるイニシアチブは、左派の政党から提案された。

 第一回の世論調査で賛成は49%に上っていたが、今回の調査では40%に落ちてしまった。一方、反対は52%に伸びた。

 また、未決定は2回の調査とも8%と安定しているため、世論調査機関の専門家は、「ほぼ間違いなく否決されるだろう」と見ている。


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グリーン経済推進イニシアチブ

 スイスは資源に乏しいが、人間活動が環境に与える負荷を示す「エコロジカル・フットプリント」の値はかなり高く、国民1人当たりの資源消費量も世界トップだ。こうした状況の中、緑の党はスイスのエコロジカル・フットプリントを2050年までに持続可能な水準に下げることを求め、「グリーン経済推進イニシアチブ」を立ち上げた。

 同イニチアチブの賛成派は、今回の世論調査で51%を占めているが、これは第1回の調査結果に比べると10ポイント低い。対する反対派は14ポイント伸び、38%を記録している。

 世論調査機関gfs.bernによれば、「この傾向は今後も続き、ぎりぎりで否決される可能性が高い」という。

諜報活動を強化する新法

 パリやブリュッセルでの一連のテロ事件を受けてスイスは昨年、テロを起こす可能性のある人物を特定するため、電話の盗聴や個人メールへのアクセス、パソコンへの侵入などを許す新法を連邦議会で通過させた。これに対し、反対派は市民のプライバシーが侵害されるという理由で、国民投票にかけるための5万人分の署名を集め、レファレンダムを成立させた。

 第2回の調査だけを見れば、賛成派が53%、反対派が35%、未決定が12%で、可決が決定されたように見える。だが、賛成派の数は第1回の調査より5ポイント下がり、反対派は12ポイント伸びている。

 こうした傾向を見て、世論調査機関は次のように分析している。「ここ最近のキャンペーンによって、迷い始めた人がいるということだ。政府が制定しようとしている法律に対し、このように考えを変える人が出てくるのは、かなりめずらしいことだ。いずれにせよ、諜報活動を強化する新法は今回、予想を立てるのが一番難しい案件だ」

(仏語からの翻訳&編集・里信邦子)

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