第1回世論調査 公共放送の受信料廃止案は反対多数
3月4日の国民投票にかけられる議案で公共放送のテレビ・ラジオ受信料支払いに反対する「ノー・ビラグ」の世論調査が行われ、第1回の調査結果では反対が6割であった。受信料を廃止し、公共放送の視聴サービス撤廃を提案する国民発議(イニシアチブ)は否決される見通しだ。
回答者の60%が「ノー・ビラグ」に反対、38%が賛成。投票の一カ月以上前で未定と答えた人はわずか2%であった。調査回答者の74%の意見は確定している。したがって、有権者の意見かなり形成されており、「今後数週間で意見を変える可能性は限定的」という。
政党間と世代間の溝
今回の調査からイニシアチブ支持者と反対者の特性を探ると、政党間で大きなギャップがあることが分かる。
イニシアチブの支持者は、政治的に右寄りになるにつれ、増加するようだ。左派の緑の党は反対88%、社会党は反対79%。中道右派は反対多数で、キリスト教民主党は反対73%、急進民主党は反対68%。つまり、実際には、主要政党の中では、右派保守政党の国民党のみが賛成多数で66%がイニシアチブを支持している。
また、支持不支持ギャップは政党間だけでなく世代間にも表れている。18から29歳の若い有権者は、賛成51%で、イニシアチブを支持する唯一の年齢層だ。
一方で、言語圏ごとに見ると、深い意思分裂は見られない。イニシアチブは、すべての言語圏で反対。ただし、ドイツ語圏(反対57%)よりもフランス語圏(反対67%)やイタリア語圏(反対65%)といったラテン語の言語圏の方がより顕著にイニシアチブに反対している。
イニシアチブ支持者の主な論調では、スイス公共放送協会(SRG SSR)の予算が大きすぎるため節約をしなければならないというが、反対者は、抑制しすぎると、番組の制作数が急激に低下し、なくなってしまうと考える。
引き続き税金を払う
世論調査によると、3月4日に国民投票にかけられる議案「新財政規律2021」は、容易に可決される見込みだ。回答者は、賛成69%、反対16%、未定15%となっている。
新財政規律は、連邦の財源である連邦直接税と付加価値税(VAT)を、さらに15年延長して2035年まで徴収するかが問われる。反対する政党はなく、論理的には容易に承認されると思われる。スイス人は引き続き税金を支払うことを決めたようだ。
国民投票に関する世論調査
スイスインフォも帰属するスイス放送協会外部リンク(SRG SSR)の委託を受けて、世論調査機関gfs.bernが実施。1月8~18日にスイス国内に住む有権者1201人が電話で回答した。誤差の範囲はプラス・マイナス2.9ポイント。
在外スイス人は、データ保護の観点から調査機関が個人情報にアクセスできないため、調査対象外になっている。
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