2019年10月20日のスイス総選挙に向けた最新の世論調査によると、今のところスイスと欧州連合(EU)の関係が有権者にとって最も関心の高い案件となっている。2015年の前回選挙からの議席数の増え幅は、緑の党と自由緑の党が最も大きくなりそうだ。
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調査ではスイス連邦議会の主要8政党のうち、右派・スイス国民党が第一党なのは変わらず27%の支持を得た。左派の社会民主党や中道右派の急進民主党を10ポイントほどリードする。
調査会社ソトモ外部リンクが実施したオンライン調査には1万2千人超の有権者が参加。スイスインフォの親会社であるスイス公共放送協会の独・仏・伊語ホームページで回答者を募った。在外スイス人からは十分な回答数が集まらなかったため、分析から除外した。
国民党と社会民主党はともに敗北色が濃厚だ。急進民主党は昨年10月の前回調査と同様、議席数を増やせる見込みとなった。
右派政党(国民党、急進民主党)は合わせて1.4%の議席減となり、左派政党(社会民主党、緑の党、自由緑の党)は計1%の議席増となる。
世論調査の概要
スイス公共放送協会の「選挙バロメーター」は、調査会社ソトモ(本社・チューリヒ)によるオンラインアンケート調査。
総選挙に向けた全6回の世論調査のうち今回は3回目で、有効回答数は1万2085人。調査期間は2月1~7日。標準偏差は±1.5%ポイント。
ソトモのミヒャエル・ヘルマン社長は「最新の調査結果では、中道(キリスト教民主党、自由緑の党、市民民主党)が支持を獲得しているのが目を引く」と話す。それでも、右派に大敗を喫した2015年総選挙前の議席を回復するには至らない。今のところは国民党と急進民主党が僅差で多数派を握りそうだ。
EUと気候変動
投票する政党を決めるに当たり重要な関心時を聞くと、「スイス・EUの2国間関係」と「医療保険料」がそれぞれ47%と最も高かった。3番目は「気候変動・CO2排出量問題」の38%で、前回調査より8ポイント高かった。
老齢年期制度改革や移民問題は関心が下がった。ただし右派政党の支持者の間では、依然として移民問題が最も高い関心事項となった。
ヘルマン氏は、保険料と気候変動問題を党の主要課題に掲げている社会民主党にとって、今回の選挙戦は厳しいものになると分析する。他の政党がこれらのテーマについて急速に存在感を高めているからだ。
急進民主党にとっても悩ましい展開になりそうだ。同党支持層が対EU関係を最も高い関心時に据えているためだ。ペトラ・ゲッシ党首は先ごろ、国民の関心の高まりを受けて環境問題に関する一大キャンペーンを立ち上げた。伝統的には緑の党や自由緑の党の専売特許である分野だ。
スイスの主用3言語地域を比較すると違いが顕著に表れる。ドイツ語・フランス語圏は対EU関係や医療保険料、気候変動が順序は違えど最も高い関心事項。一方イタリア語圏では対EU関係のほかに移民やスイスの独立性が上位に立つ。
閣僚の人気度
ソトモは同時に、政府や両院に対する支持率や、個々の閣僚の人気や認知される影響力を調査した。
最も人気が高かったのはアラン・ベルセ内務相。ウエリ・マウラー財務相が続き、イグナツィオ・カシス外相は最下位だった。
ただヘルマン氏は、人気順位と総選挙の結果はあまり関係がないと話す。「有権者にとって最大の決定要因は、政党の掲げる政策課題だ」
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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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