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ブレグジットに警戒するスイスのウェルスマネジメント

ジュネーブに本拠を置くユニオン・バンケール・ブリヴェ(UBP)
UBPはジュネーブに本拠を置く資産運用会社 。1969年に創設された Keystone

スイスのプライベートバンクのユニオン・バンケール・ブリヴェ(UBP)が英投資会社の買収を検討している。それは英国のEU離脱(ブレグジット)に向け準備が進むロンドンで、スイスのウェルス・マネジャーがいかに商機をつかもうとしているかを反映する動きだ。

 スイスの銀行関係者の間では、ウェルスマネジメントの中心地として世界の超富裕層の資産を集めるジュネーブが、ブレグジット後のロンドンにビジネスを奪われるのではないかという恐れが広がっている。

 関係者によると、預かり資産1250億ドルを誇るUBPは、ACPIの買収の交渉成立にあと一歩のところまで近づいている。ACPIは、米ゴールドマンサックスで英国プライベートウェルスマネジメント部長だったブレット・ランケスター氏が率いるウェルスマネジメント専業会社。預かり資産は40億ドル、従業員は70人だ。

 UBPは、同社の英国事業をACPIと合併させる方針だ。英国事業の預かり資産はACPIと同程度。ウェルスマネージャーの市場評価額は通常、預かり資産の1.5~2%が相場とされ、ACPIの買収もこの水準で取引されるとみられる。
UBPはコメントしていない。ACPIは取引は完了していないと述べた。

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英国進出を目論むのはUBPだけではない。ロンバー・オディエやジュリアス・ベアといったスイスの銀行にも似たような動きがある。

 「ブレグジット後、英国は海外の富裕層顧客にとってより魅力的な資産の管理拠点 になるだろう」。UBPの交渉関係者はこう話す。「それがUBPがこのビジネスを買収しようとする理由だ」

 英国の強力な規制環境や豊富な投資専門家は、スイスにとって強力な競争相手だ。

 スイスの市場解説者の一部は、英国がオフショア資産の取り込みに注力すれば、欧州や中東の富裕層がスイスからロンドンに資産を移すのではないかと懸念する。

 UBPの最高経営責任者(CEO)、ギー・デ・ピチョット氏は5月、フィナンシャルタイムズ紙の取材にM&Aを検討しているとほのめかした。 「買収によって預かり資産額が増える可能性があるなら、ぜひ検討したい」と述べた。 「スイス国内企業でなければアジア企業の買収だ。そしてブレグジットの結果がどうであれ、ロンドン支社を強化する必要がある」

 ジュリアス・ベア(預かり資産4千億ドル)は昨年、英国に支店を開設。行員を30人増やした。

 当時、UBSやクレディ・スイス、ピクテなどソシエテジェネラル のスイスの銀行幹部もフィナンシャルタイムズに対し、スタッフ増強や支店新設など、英国事業への投資を増やすと明かした。

 スイスのプライベートバンクであるロンバー・オディエも、ここ数年で英国の事業規模を拡大している。

Copyright The Financial Times Limited 2018.

(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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