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スイスの連邦最高裁判所は13日、フランス国内にあるスイスの金融大手UBSフランスから盗まれた顧客データについて、盗難であっても脱税が疑われる場合はスイスがフランスに必要な法的支援を行うことを認める決定を出した。
連邦最高裁外部リンクは、2015年に連邦行政裁判所が出した決定を破棄。フランス国内で盗まれた顧客情報にはスイスの法律が適用されないため、二重課税をめぐる両国の合意が法的支援を供与する可能性を排除することはないとした。
UBSフランス外部リンクでは10年、元従業員が盗まれた約600人分の顧客リストを仏当局に転送。スイス税務当局の法的支援を求める2件の申し立てが含まれていた。
行政裁判所は法的支援を一時的に停止する判決を出したが、顧客の1人が不服として上告していた。
顧客情報を自動的に交換
連邦財務省によると、法的支援を求める申し立ては昨年、6万6500件を超え最多を記録。申し立ての大半がフランス、スペイン、ポーランド、スウェーデン、オランダからだった。
スイスと合意を締結した国は今後、スイスに対し、自国民の口座情報を開示するよう申請する必要がなくなる。データは1年に1回、自動的に提供されるためだ。
用途は税の徴収に限り、公開できない。スイスは17年以降、データの収集を開始する予定で、翌18年から一部の国と情報共有する。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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税の情報交換制度 拡大めぐり賛否両論
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各国が協力して個人の銀行口座に関する情報を自動的に提供しあう「自動的情報交換制度」。脱税を厳しく取り締まるには効果的な措置だが、国家が市民に政治的な圧力をかけるために制度を利用するとしたら?といった懸念は拭えない。
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個人の口座情報 税務当局はどのように把握する?
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スイスの銀行に課されていた守秘義務に終止符を打つ法律が1月1日、発効した。各国間で銀行データがどのように交換されるのかをビデオで解説する。(SRF/swissinfo.ch)
1月1日から、銀行口座の自動的な情報交換を定める新たな国際法が発効した。これまで守秘義務のもとにあったスイス国内に口座を持つ非居住者の口座情報は、納税義務のある国の税務当局に提供されると同時に、海外に口座を持つスイス人の口座情報もスイスに提供されるようになった。この自動情報交換制度には、米国は参加表明していないものの、約100カ国が大筋で合意している。
そもそも、スイスの誇る銀行の守秘義務にひびが入ったのは、米国からの圧力を受けてのことだった。2009年以降、スイスの銀行は米国人顧客の脱税をほう助したとして巨額の罰金の支払いを命じられてきた。
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15年1月施行の改正銀行法は、名義人から10年連絡がなく、その後50年間休眠状態になっている口座で、預金額が計500フランを超えるものを公開するよう銀行に義務付けた。口座はインターネットのウェブサイト上で公開され、名義人の氏名や居住地、国籍など、誰でも閲覧できる。検索すると、日本人の名前も出てくる。
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