イスラム過激派関与の容疑で、スイス国籍剥奪か
スイスは、過激派組織「イスラム国(IS)」に加わった疑いがある19歳の男性のスイス国籍を剥奪する意向を発表した。もし実際に剥奪されれば、60年以上存在する国籍の剥奪に関する法律が初めて適用されることになる。
連邦移民事務局によると、スイスとイタリアの国籍を持つこの男性は、シリアのISに参加した疑いが持たれている。
スイスの国籍法では、二重国籍を持つ国民が国の利益や名声を著しく傷つける行動をした場合、スイス国籍を剥奪できる。
国の通告から1カ月以内であれば、この男性は抗告することができる。
連邦移民事務局は、国にとって脅威となる過激派の入国を拒否できるようにするため、今回の措置に出たとしている。
スイス国籍の剥奪が実現すれば、1953年に発効した同法の国籍に関する条項が初めて適用されることになる。
無料日刊紙「20 Min.」によると、この男性は昨年2月、チューリヒ州ヴィンタートゥールの自宅からシリアに向かったとされる。
連邦移民事務局のレア・ヴェルトアイマー報道官はドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)の取材に、「この人物は残虐な行為、人権の侵害、戦争犯罪の容疑で告発されている。スイスにとって脅威だ」と述べた。
男性の現在の居場所については、当局は情報をつかめていないとしているが、SRFが戦場ジャーナリストのクルト・ペルダ氏に話を聞いたところによると、男性は1年前、シリア北部アインアルアルブ(クルド名コバニ)が空爆を受けた際に死亡した可能性もあるという。
ジハードのための渡航
連邦情報機関は現在、ジハード(聖戦)に参加する目的で渡航するスイス人の数を調査している。今年はまだ1人も確認されていないが、これまでの総計は73人。
連邦情報機関はイスラム過激派を支持している可能性のある400人について、ソーシャルメディアでの動きを監視している。今年は、12人がイスラム過激派の活動に関わった後にスイスに帰国。違法行為の容疑で全員が告訴されている。
また、連邦検察庁は現在、同様の容疑に関する60の案件に取り組んでいるという。
(英語からの翻訳&編集・鹿島田芙美)
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