ウクライナ復興 民主主義が成否のカギ
ウクライナの復興に当たっては、民主主義の強化が重要な課題になっている。ルガーノで4日開幕したウクライナ復興会議では、ウクライナとスイスの国会議員や市民社会の代表らが解決策を話し合った。
外交官や経済専門家によるセッションに先駆け、ウクライナとスイスの議員団がルガーノで会合を開いた。ウクライナ議会のルスラン・ステファンチューク議長やスイス国民議会(下院)のイレーヌ・ケリン議長が進行役を務めた。
ケリン氏は「両議会は勇敢で、政府から独立した存在であることを示さなければならない」と述べ、今回の会合がそれに大きく貢献すると強調した。
「ウクライナの自由は我々の自由だ。ロシアによる侵略戦争は我々全員と基本的権利、人権、主権に対する攻撃だ。スイス議会は当然、できる限りの支援を提供する」
カリン氏は声明をとりまとめる方針を示した。ケリン、ステファンチューク両氏は、復興プロセスにおいてウクライナ会議が果たすべき役割を声明に盛り込みたい考えだ。立法過程や予算査定、議会の監視機能、議会や事務局の強化などだ。
民主主義の復元
欧州議会のハイディ・ハウタラ副議長も同会合に出席した。swissinfo.chの取材で、「レジリエンス(復元力)は民主主義の中心にある」と語った。
欧州議会は司法や議会制民主主義などウクライナの改革を支援し、民主主義の復元を促している。
ハウタラ氏は「司法改革はまだ検討中であり、前に進めなければならない」と強調した。
「ウクライナ代表団は参加型民主主義がどうしても必要だと明言した。それについてはスイスが最高のアドバイザーだ」とも語った。
1990年代初頭に独立して以来、ウクライナではオリガルヒ(新興財閥)による政治の乱用が深刻になっている。ハウタラ氏は「多くの利害対立や公共資産・サービスの悪用をもたらした。ウクライナが欧州連合(EU)加盟を申請するなら、問題の大きさをこれまでより真面目に考える必要がある」と警告した。
ウクライナから学ぶこと
議員団会合に出席したスイス民主主義財団のステファニー・ボスハルト理事長は、国会議員に限らず全てのウクライナ国民が民主的自由を守ろうとする決意を固めていることに感銘を示した。「私たちにとって民主主義は当たり前のものだと思われている。だがウクライナの人々が献身的に闘っていることが示すように、自由と民主主義は決して当たり前ではない」
同氏はスイスの持つ参加型民主主義や国民の権利、連邦主義に関するノウハウでウクライナを支援できると述べた。スイス国民が逆に、ウクライナの市民社会の積極的な取り組みから刺激を受けるだろうとも語った。
独語からの翻訳:ムートゥ朋子
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