スイスの視点を10言語で

スイス、ジェンダー平等に関する初の国家戦略を決定

女性ストライキ
2019年に国内全土で行われた女性ストライキ。ルツェルンで撮影 Keystone / Alexandra Wey

スイス連邦内閣は28日、男女同一賃金やキャリアと家庭の両立促進、女性への暴力根絶を目指す初の国家戦略「男女共同参画戦略2030外部リンク」を閣議決定した。

同戦略は職場での男女平等推進、ワークライフバランスの改善、暴力防止、反差別の4つの柱から成り、2030年までに真のジェンダー平等を目指す。

1981年、連邦憲法第8条に盛り込まれた平等権は「男女は平等の権利を有する。法の下で、法や現実において、とりわけ家族、教育、職場における平等を保障する。男女は同じ価値の仕事に対し、同じ賃金を受け取る権利がある」と規定する。関連法は96年に施行された。

しかし、世界経済フォーラム(WEF)や経済協力開発機構(OECD)などの統計や国際ランキングを見ると、スイスはまだジェンダー平等を達成したとは言えない。連邦内閣は「私たちはこれを改善できる。また改善しなければならない」としている。

政府は2023年までに実施する具体的な措置を全14ページの報告書にまとめた。これには優れた賃金平等分析ツールを開発・発信するほか、州と協力し実際のワークライフバランス改善に国家戦略を適用させることなどが含まれる。家族、特にひとり親世帯の貧困撲滅も目指す。

暴力防止では、政府は11年に欧州評議会で採択された「女性に対する暴力及びドメスティック・バイオレンスの防止に関する欧州評議会条約」(イスタンブール条約)に、アクションプランを提示する。女性への暴力、家庭内暴力の統計調査や調査結果の活用方法を改善し、被害者の保護を強化する。

連邦政府は州や地方自治体と協働して戦略を進め、NGOを中心とした市民社会、経済界、研究界とも緊密な対話を図る。25年末に戦略の中間レビューを実施する。


 

最も読まれた記事
在外スイス人

世界の読者と意見交換

ニュース

牧草をはむ牛

おすすめの記事

スイス、PFASの規制強化を検討

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。

もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
ツークの街並み

おすすめの記事

スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ

このコンテンツが公開されたのは、 世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。

もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
鏡を見るバレエダンサー

おすすめの記事

ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。

もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
自転車で遊ぶ子ども

おすすめの記事

スイス政府、国際養子縁組を禁止へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。

もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
生殖治療の画像

おすすめの記事

スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。

もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
研究施設で働くマスク姿の人

おすすめの記事

スイスに感染症情報解析センター発足

このコンテンツが公開されたのは、 感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。

もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
茶色い除湿器

おすすめの記事

ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。

もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
Xマークの画面

おすすめの記事

スイスでX離れ進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。

もっと読む スイスでX離れ進む

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部