セルビアのベオグラードで、ワグネル・グループのロゴに上塗りされた反戦の落書き
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スイス政府は20日、ロシアに対する制裁の対象者リストに民間軍事安保会社(PMSC)ワグネル・グループと通信社「RIA FAN」を追加すると発表した。欧州連合(EU)が先週決めた措置に追従した。
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スイス連邦経済省は同日発表した声明外部リンクで、ワグネルはロシアを本拠とする軍事組織で、「ロシアによるハイブリッド戦争の道具」となっていると指摘。「ロシアによるウクライナへの軍事侵略に積極的に参加」しているためEUの制裁対象になった。スイスがこれに追従したことで、組織がスイス内に持つ金融資産が凍結され、スイスへの出入りも制限される。
ワグネル・グループの法的地位は不明だが、「重層的な所有者構造と物流ネットワークを通じて複雑にネットワーク化したグローバル企業群(航空、セキュリティー、テクノロジー、商品取引、金融サービスや影響力のある活動など)の一部」だと説明した。
ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が会長を務めるRIA FANは、「政府寄りのプロパガンダと偽情報の流布」を理由に制裁対象となった。
スイスの通信社Keystone-SDAによると、プリゴジン氏自身がリビアでの活動により2020年10月からスイスの制裁対象となっている。
プロパガンダには「禁止より事実で対抗」
政府は一方、EUが最近制裁対象に加えた他のメディア、RTアラビア語版とスプートニクアラビア語版をスイスの対象リストに入れるのを見送った。ロシアのメディア操作や改竄に加担しているとされるが、スイス政府は、「事実と異なる有害な発言に対しては、全面禁止するよりも事実を持って対抗する方が効果的だ」とする昨年3月25日の閣議決定を踏まえた。
経済省によると、2社はスイスでの放送は禁止されないが、広告はできなくなる。
制裁は、20日午後6時(スイス時間)に発効した。
中立国スイスは独自に制裁を加えることはないが、EUなど他の国・組織による制裁に追従するかどうかを決めることができる。2022年2月の侵攻開始以来、これまでに10以上の制裁を講じてきた。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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