スイス、対ロ制裁対象を拡大
ウクライナでの戦争を受け、スイス連邦政府は16日、ロシアの個人や企業・団体に対する制裁対象を拡大したと発表した。
連邦経済省によると、今回追加されたのは個人197人と9の企業・団体。ロシアとベラルーシの新興財閥(オリガルヒ)や著名な実業家たちで、ロシア人実業家のロマン・アブラモビッチ氏も含まれる。同氏はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と長年にわたりつながりがあると非難されている。
スイス在住で、今週初めに米国の制裁対象となったヴィクトル・ヴェクセルベルク氏については言及されていない。
同省は16日付の声明で「スイスの制裁リストはこれで欧州連合(EU)と完全に一致した」と述べた。
制裁対象に指定された人物は、スイスの金融制裁と渡航制限の対象となる。
同省は「これらの人物が保有するスイス国内の資産は凍結され、連邦経済省経済管轄局(SECO)への報告が義務づけられる」とした。
スイスの通信社Keystone-SDAによると、制裁対象に指定された個人は計約870人。また60を超える企業が制裁対象に入った。
スイス連邦議会で議論
スイス連邦議会は16日、ウクライナでの戦争を受けた政府の政策のほか、今後起こりうる影響について3時間の議論を行った。
国民議会(下院)では閣僚4人が出席。更なる人道支援、難民、治安やガス供給に関する質問に答えた。
右派・中道政党の議員は国防費の増額を要求。左派議員は人道支援と経済制裁の強化を中心に議論を展開した。
外相を兼任するイグナツィオ・カシス連邦大統領は、欧州は「第二次世界大戦後最悪の安全保障の危機」に直面していると述べた。
また、200万人以上が緊急援助を必要としており、人道的状況は「壊滅的」だと述べた。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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