19日に行われたスイス・ジュネーブ州の住民投票で、労働協約なしで小売店の年3回の日曜営業を認める法改正案が52.5%の僅差で可決された。期間は2020年12月末までで、ジュネーブ州政府が効果を検証、報告書にまとめる。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国内の店舗は主要駅や空港などを除き、日曜日は基本的に営業していない。だが今回の投票結果を受け、ジュネーブの街は影響を受けそうだ。
日曜営業を認める法改正は、同州では2016年11月、住民投票ですでに可決されている。ただしこの時は労働協約(GAV)の締結が条件となっていた。
しかし労使間で折り合いがつかず、締結に至らなかった。このため州政府は労働協約なしでも年3回の日曜営業を認める法改正案を議会に提案、州議会が昨年9月、可決した。
これに対し左派と労働組合は法律の見直しを求めるレファレンダムを提起し、今回の住民投票が行われた。
今回の法改正を主導した急進民主党のジャック・ベネ氏は「ジュネーブの小売店とこの業界で働く人たちにとっての勝利だ」と述べた。ジュネーブの人たちは国境を越えてフランスなどに買い物へ行く人が多く、それに歯止めをかけることにもつながると強調した。
だが、「1年に3回」という上限が設けられたのは残念だという。
一方、地元の労働組合は困惑気味だ。日曜に働く労働者には倍の賃金を払うことや前後で代休を与えるなど「重要な補償」が盛り込まれたとはいえ、小売業界で働く労働者のための包括的な労働協約はまだ交渉が始まっていないという。
連邦レベルの国民投票で同日可決された法人税改革により、ジュネーブの法人税率は24.2%から13.99%に引き下げられることになるが、労働組合は小売産業に対し、この「大幅な税の恩恵」を活用し賃金の引上げと雇用の創出を求めた。組合はまた、現在議論が進む夕方の営業時間延長にも反対する構えだ。
どの日曜日を営業日とするかはまだ決まっていないが、クリスマス前となりそうだ。
おすすめの記事
世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ベルナーオーバーラント地方のシュテッヘルベルクとミューレンの間に、世界一急勾配のケーブルカーが開業した。
もっと読む 世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
おすすめの記事
2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。
もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
おすすめの記事
医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
このコンテンツが公開されたのは、
大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。
もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
おすすめの記事
スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。
もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
おすすめの記事
世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。
もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
おすすめの記事
スイスのドライバー、2割が飲酒運転
このコンテンツが公開されたのは、
欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。
もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
おすすめの記事
狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
このコンテンツが公開されたのは、
先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。
もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
このコンテンツが公開されたのは、
今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
おすすめの記事
スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。
もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
おすすめの記事
スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。
もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
続きを読む
おすすめの記事
EUの銃規制強化、スイス版「税と社会保障の一体改革」ともに可決 バーゼル水族館は否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで19日、国民投票が行われた。欧州連合(EU)の銃規制強化をスイスも踏襲するか否かと、法人税改革と年金の追加財源確保を合体させたスイス版「税と社会保障の一体改革」はいずれも賛成多数で可決された。バーゼルの巨大水族館建設は否決された。
もっと読む EUの銃規制強化、スイス版「税と社会保障の一体改革」ともに可決 バーゼル水族館は否決
おすすめの記事
ジュネーブで未成年者の国民投票「模擬投票」その意義は?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで19日に行われる国民投票に合わせ、投票権を持たない16~17歳の未成年者約5千人による模擬投票(電子投票含む)がジュネーブ州で行われる。スイスでは過去最大の試みだ。
もっと読む ジュネーブで未成年者の国民投票「模擬投票」その意義は?
おすすめの記事
ジュネーブを挟んだスイス人とフランス人、越境ショッピングの驚く価格差
このコンテンツが公開されたのは、
国境を越えてフランスで買い物をするジュネーブの住民が使ったお金は、スイスに買い物に来るフランス人に比べ、3倍も多かったことが分かった。ジュネーブ周辺地域の消費者行動を調べた初の調査で判明した。
もっと読む ジュネーブを挟んだスイス人とフランス人、越境ショッピングの驚く価格差
おすすめの記事
スイスの不動産価格 この11年で大幅上昇
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ湖畔沿いにあるアパートの物件価格は、チューリヒ州ビューラハを除くほかの10地区よりも上昇が顕著で、1平米1万3000フランだったが、香港の2万8000ドルやロンドンの1万7610ドルよりは下回った。 世界中の都…
もっと読む スイスの不動産価格 この11年で大幅上昇
おすすめの記事
スイスのファミリー向け賃貸住宅、最も高いのはジュネーブ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの10大都市にあるファミリー向け賃貸住宅の家賃比較調査によると、最も高かったのはジュネーブ、最も安いのはスイス東部のザンクトガレンだった。
もっと読む スイスのファミリー向け賃貸住宅、最も高いのはジュネーブ
おすすめの記事
国際赤十字、ジュネーブの新社屋をお披露目
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ジュネーブにある国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)本部の新しい建物が完成した。 スイス政府が建設資金の一部を融資した。
もっと読む 国際赤十字、ジュネーブの新社屋をお披露目
おすすめの記事
スイスに住む外国人、安全面は評価するも地元民に不満
このコンテンツが公開されたのは、
「世界最大の外国人ネットワーク」と称するインターネーションズが6日、外国人が住みたい国の人気ランキング「エクスパット・インサイダー」2017年版を発表した。外国人にとっての天国とは、安全レベルはスイス並み、レジャーの選択肢は南アフリカ並み、教師はフィンランド人、隣人はメキシコ人。逆に外国人にとっての地獄とは、安全レベルは南アフリカ並み、レジャーの選択肢はフィンランド並み、教師はメキシコ人、隣人はスイス人だ。
もっと読む スイスに住む外国人、安全面は評価するも地元民に不満
おすすめの記事
ジュネーブで爆弾が爆発したとき
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは欧州の中で平安無事の「島」と言えるだろうか?少なくとも20世紀初頭は違った。ジュネーブでは1902年と1905年に爆弾事件が2件発生。事件の背景には、イタリアとロシア出身のアナーキストたちが関わっていた。
もっと読む ジュネーブで爆弾が爆発したとき
おすすめの記事
公共施設での使い捨てストローなどを禁止へ ジュネーブで
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブ市は2020年から、公共施設でのイベントや物品販売所で、ストローなど使い捨てプラスチックの使用を禁止する。欧州連合(EU)も2021年までに一部プラスチック製品を禁止することが決まっているが、それに先行した形だ。
もっと読む 公共施設での使い捨てストローなどを禁止へ ジュネーブで
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。