アルプス山脈で増え続けるオオカミの個体数を把握するため、スイス政府は年間約50万フラン(約7千万円)を費やしている。
このコンテンツが公開されたのは、
同資金はオオヤマネコやクマなど、スイスに生息する全ての大型肉食動物を監視するために拠出する政府資金(年間110万フラン)の一部。肉食・野生動物の保護管理財団「Kora」、並びにローザンヌ大学の保全生物学研究所に配分される。議会での質問に政府が回答した。
現在スイスにはオオカミの群れが20存在し、合計約150頭生息する。Koraによると、今後3年間で少なくとも50群れに分かれた個体数350匹まで増えると見られる。
そうなればオオカミと人間の間で摩擦が生じるのは必至だ。特にアルプス山岳部の農家では、家畜がオオカミによる被害を受けることが予測される。
アルプス山岳部に位置する州は最近、この問題に対処すべく政府に更なる支援を求めた。
ヴァレー(ヴァリス)州、グラウビュンデン州、グラールス州、ティチーノ州、ウーリ州では、今年既に合計千頭の羊と牛がオオカミに襲われた。
2020年のスイス国民投票では、個体数が増えたオオカミの駆除に関する規制緩和が有権者の反対により否決された。現行法でオオカミは保護種に指定されているため、一定数の家畜を殺した場合にのみ駆除が認められる。
英語からの翻訳:シュミット一恵
おすすめの記事
2025年の高級品市場、米国が牽引役に UBSレポート
このコンテンツが公開されたのは、
高級品市場は中国での需要減退により、2025年は米国が成長のエンジンとなる――スイスの銀行UBSが25日発表したレポートでこんな見通しを示した。
もっと読む 2025年の高級品市場、米国が牽引役に UBSレポート
おすすめの記事
スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの弾薬製造会社Pディフェンスの狙撃用弾薬が昨年7月、ポーランドの会社経由でウクライナに届いていた。スイス公共放送が報じた。
もっと読む スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
おすすめの記事
核ごみ処分場計画「国民投票で可決されれば加速」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画をめぐり、計画主である放射性廃棄物管理協同組合NAGRA(ナグラ)は、国民投票による決着を歓迎する姿勢を示す。
もっと読む 核ごみ処分場計画「国民投票で可決されれば加速」
おすすめの記事
スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画が、正式な認可が下りる前から反対運動に直面している。
もっと読む スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
おすすめの記事
ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
このコンテンツが公開されたのは、
ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。
もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
おすすめの記事
スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。
もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
おすすめの記事
2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。
もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
おすすめの記事
CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
このコンテンツが公開されたのは、
今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。
もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
おすすめの記事
女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。
もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
続きを読む
おすすめの記事
生物多様性の保全は地域社会から
このコンテンツが公開されたのは、
生物多様性の保全に関する国際交渉は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で延期されるなど、進展に乏しい。そんな中、人類が地球環境に与える影響を調査する研究者は、地域に根差した保全活動に希望があると主張する。
もっと読む 生物多様性の保全は地域社会から
おすすめの記事
ウルフドッグの国内生存確認 射殺後の遺伝子検査で
このコンテンツが公開されたのは、
スイス東部のライン渓谷で3月に射殺された野生動物が、オオカミと犬が交配したウルフドッグであったことが遺伝子調査で分かった。オオカミの交雑種が確認されたのは、スイスでは初めて。当局は生態系への影響を注視している。
もっと読む ウルフドッグの国内生存確認 射殺後の遺伝子検査で
おすすめの記事
アルプスの住みかを気に入った大型のネコ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで1900年代、乱獲により一時絶滅したオオヤマネコが、政府の繁殖政策などにより現在は300頭まで持ち直した。
もっと読む アルプスの住みかを気に入った大型のネコ
おすすめの記事
オオカミは駆除されるべき存在?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは毎年4千~6千匹のヒツジが病気、転落、落雷などが原因で死亡している。それに比べ、オオカミに襲われて死亡するヒツジの数は少ない。しかし、スイス南西部のヴァレー州では多くの住民が捕食者駆除地域の開設を求めている。(SRF/swissinfo.ch)
スイスで2016年に飼育されたヒツジの数は約34万匹。このうち389匹がオオカミに襲われて死亡した。
スイスには推定30~35匹のオオカミが生息しているが、現在ヴァレー州では、そのオオカミと並んでクマ、オオヤマネコなどの捕食者を駆除しようとする動きがある。しかし、これらの動物はベルンで締結された国際協定で保護動物に指定されている。オオカミの居場所はないのか?地元住民に話を聞いた。
もっと読む オオカミは駆除されるべき存在?
おすすめの記事
保護か駆除か、オオカミをめぐる対立
このコンテンツが公開されたのは、
8月に入り、グラウビュンデン州カランダのオオカミの群れに、今年生まれたオオカミの子3匹が確認された。森の茂みのあちこちに設置された監視カメラがその姿を捕らえた。3匹以上生まれている可能性もある。これまでに1シーズンで5…
もっと読む 保護か駆除か、オオカミをめぐる対立
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。