今年6月、武器輸出の規制緩和を打ち出した連邦政府に対し、スイス連邦監査事務所はこのほど、武器輸出業者が現行制度下の抜け穴を利用してすでに同じことをしていると指摘した。政府の緩和方針に今後、波風が立ちそうだ。
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連邦政府は6月、戦争当事者に使用されないことを立証できれば、内戦の当事国に武器を輸出できるよう武器輸出法を緩和する方針を打ち出した。だが監査事務所は、現在の法的枠組みでも抜け穴を使って同等の行為が可能だと指摘する。
抜け穴の一つは、紛争当事国ではない第三国に一定量の兵器部品を輸出する場合、組み立てた武器の再輸出を禁止する合意を交わす必要がないという条項だ。これは「代替的な輸出手段」と呼ばれ、監査事務所はカナダを経由してカタールに戦車が輸出されたケースや、米国を介してサウジアラビアに運ばれるピストルの部品などの事例を挙げた。
企業はまた、兵器が民間人による使用に限定されていると主張することで、厳しい監視の目をかいくぐることができる。こうしてライフルスコープがイタリア経由でイランに出荷された例がある。
監査事務所は16年の武器輸出状況を報告書にまとめ、これらの抜け穴に関し透明性を高めるよう勧告している。また連邦経済省経済管轄局(SECO)に対し、輸出後の検査ではなく、スイスの兵器製造業者に対する監査を厳しくするよう求めている。SECOは軍需産業を代表する企業やロビイストと距離を置くべきだとも結論付けた。
ただSECOは、報告書が「一方的」で「恣意的」だと批判。政治的な意図や多くの誤解、重要な事実隠ぺいがあると反論した。監査事務所の報告書は法律上の権限を逸脱した可能性があるとも示唆した。
赤十字国際委員会(ICRC)のペーター・マウラー総裁は今月初め、スイスの武器輸出法の緩和を批判。スイスの「人道的側面」に傷がつくだろうと述べた。
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欧州議会は今月14日、銃規制案を可決した。スイスは欧州連合(EU)に加盟していないが、シェンゲン協定加盟国としてこの新規制を適用する必要がある。これに対して、スイスの銃器所持擁護のロビー団体が異議を唱えている。
欧州議会が可決した新規則は、武器登録の導入や半自動銃のカードリッジ(薬包)の上限を20発から10発に制限するなど、銃器の所持をより制限する内容となっている。
スイス国内で同規則を適用するには議会の承認が必要となる。スイススポーツ射撃協会(FST-SSV)は、議会がこれを承認した場合、レファレンダムを視野に入れていると話す。
同協会のドラ・アンドレス会長は「新銃規制はテロ攻撃を阻止することはできないし、スイスの現行法は武器の違法取引に十分対応している」と話す。さらに同氏は、「スイスは銃器の所持において、とりわけ猟師、射手、コレクターの間で長い歴史がある」と付け加えた。
右派・国民党のヴェルナー・ザルツマン議員も同じく、新規制の導入に異議を唱えている。
しかし、左派・社会民主党のシャンタル・ガラデ議員は、「射手も警察官も、従来どおり銃器を使用できる」とドイツ語圏のスイス公共ラジオに対して話した。
スイス、適用外となるか?
シモネッタ・ソマルガ司法警察相は昨年3月、EUが計画する銃規制は、軍隊で使う武器を家庭で保管するという、スイスの伝統には影響しないだろうと話していた。
スイスでは1割以上の徴集兵が公務を終えた後、軍隊で使用した銃器を家庭に持ち帰っている。そのため、EUの半自動銃に関する規制案は当時から、スイスで大きな議論を引き起こしていた。
今回の新規制の導入に対する反対派は、銃登録データの統括を求める案件が2011年の国民投票で否決されたことを反対理由の一つに挙げている。
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