スイスの視点を10言語で

スイス大統領「持続可能な復興を」 ウクライナ復興会議が開幕

Volodymyr Zelensky addresses the Lugano conference
ルガーノで開幕したウクライナ復興会議でオンライン講演するウォロディミル・ゼレンスキー大統領 © Keystone / Michael Buholzer

戦後のウクライナ復興を討議する国際会議がスイス南部ルガーノ市で4日開幕した。復興に向けた憲章のとりまとめを目指す。

スイスのイグナツィオ・カシス外相兼大統領は会議に参加する代表団に対し、ウクライナの持続可能な復興に向けた「ルガーノ宣言」への合意を呼びかけている。

カシス氏は開幕の挨拶で、「ロシアのウクライナ侵攻により、私たちは団結し、集結できる限りの決意を持ってこの戦争に立ち向かい、試練を受けているウクライナの人々が歩んでいく、持続可能な復興への長い道のりに対する支援を約束せざるを得なくなった」と述べた。

「この部屋にいる私たち全員を結びつけるのは、この恐怖と理不尽な破壊、悲しみの時に、ウクライナの人々に自己決定できる生活や平和、そして明るい未来を取り戻す希望をもたらしたいという願いだ。そこまでの道のりは長いが、爆撃の音が止むその時に備えるのに早すぎることはない」

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はキーウからオンラインで講演し、「ロシアによる戦争は単に私たちの国を奪うためのものではなく、欧州のシステムに対する挑戦だ。ウクライナのは単にこの地域の問題ではなく、民主主義の世界全体に課された責務だ」と訴えた。

5日まで2日間にわたり開かれるウクライナ復興会議は、ウクライナ改革会議の1つとして2月にロシアが侵攻開始する前から予定されていた。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長など国際政治の要人が出席している。

気候協定にも署名

カシス氏は、ウクライナの政治改革を促すという今会議の当初目的も維持するべきだと強調した。「特に腐敗との戦いにおいてこうした努力が揺るぎなく継続し、透明性と司法の独立性を高め、戦争によって行き詰まらないことが重要だ」

ウクライナのデニス・シュミハリ首相や国会議員数名が会議の会場に足を運んでいる。スイスの国会議員は4日にウクライナの議員団と会談し、両国間の今後の協力について話し合った。ウクライナの代表団は同日午後に市民社会団体と会う予定だ。

スイスのシモネッタ・ソマルーガ環境相は会議と並行して、ウクライナとパリ気候条約の実施に関する協定に署名した。スイス連邦環境省はツイッターで「この協定によって国際協力以外の資金調達手段を確保し、既存のプログラムを超えた気候保護が可能になる」と投稿した。

英語からの翻訳:ムートゥ朋子

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

ベルジエ報告

おすすめの記事

「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱

このコンテンツが公開されたのは、 スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペレノード氏は、再調査の必要性を強調する。

もっと読む 「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
整備中の飛行機

おすすめの記事

スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠

このコンテンツが公開されたのは、 スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)のブカレスト発チューリヒ便が先月オーストリアのグラーツで緊急着陸した後、客室乗務員(23)が死亡した事件で、死因は酸欠だったことが分かった。複数のスイスメディアが報じた。

もっと読む スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
署名の入った箱

おすすめの記事

国民投票に向けた署名がまたも偽造

このコンテンツが公開されたのは、 医療品の安定供給を求める国民投票に向けて集められた署名のうち、3600筆以上が無効な署名だったことが明らかになった。

もっと読む 国民投票に向けた署名がまたも偽造
エリック・ヘンニさん

おすすめの記事

スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト

このコンテンツが公開されたのは、 1964年東京オリンピックで銀メダルを勝ち取ったスイス人柔道家のエリック・ヘンニ(Eric Hänni)さんが25日、86歳で死亡した。スイス柔道・柔術協会が発表した。

もっと読む スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト
T字型リフトに乗る子ども

おすすめの記事

スキー初心者泣かせのT字型リフト 生誕から90年

このコンテンツが公開されたのは、 スイス発祥で、今も国内のスキー場で使われているT字型リフトが23日、東部ダボスの地で誕生から90年を迎えた。発明直後から急速に普及したが、現在ではチェアリフトへの転換が進む。

もっと読む スキー初心者泣かせのT字型リフト 生誕から90年

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部