スイス政府はパレスチナの過激派組織ハマスをテロ組織とみなし、活動などを禁止することを決めた。スイスでハマスが活動したり支援を受けたりするのを防ぐため、特別法を制定する。
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連邦内閣(政府)は22日に発表した声明外部リンクで、10月7日以降の中東情勢に対してはハマスの活動禁止が「最も適切な対応」であると述べた。
スイス当局が国内でのハマスの活動・支援の撲滅に必要な措置を取れるよう、連邦司法・警察省と連邦国防・国民保護・スポーツ省に対し、2024年2月末までに法案をまとめるよう指示した。
連邦内閣は同日、パレスチナの3つのNGOとの協力活動の打ち切りも決定した。スイス外務省の行動規範や契約上の差別禁止条項への違反が発覚したためだ。
スイス外務省は10月7日のハマスによるイスラエル急襲後、スイスの中東協力プログラムのパートナー団体である11団体(パレスチナの6団体、イスラエルの5団体)の資金の流れを調査するよう要請を受けていた。このうちパレスチナの3団体について行動規範や契約上の差別禁止条項への違反が発覚した。
協力関係を終了する3団体の名前や、違反行為の詳細については明らかにしなかった。他の8団体では不正行為は見つからなかった。
テロを再度非難
スイス政府は22日の閣議で、改めて「最も厳しい言葉」でハマスによるテロ攻撃を非難した。「10月7日以来、イスラエルとパレスチナ占領区全域で数千人の市民が命を落としたことに対し、深い悲しみを覚えている」と述べた。
「イスラエルが自国の防衛と安全を確保する権利を認め、文民の保護と国際人道法の尊重がすべての当事者に課せられた義務であることを改めて表明する」
パレスチナ自治区のガザ地区が深刻な人道状況に陥ってることを踏まえ、スイス政府は人道回廊を確保する必要性を訴えた。そのために人道的一時停戦が必要だと訴えた。
声明では、「二国家解決」案に基づく政治的枠組みを取り戻すことが極めて重要だと強調した。「パレスチナ人とイスラエル人の双方が平和・安全に、そして尊厳を持って共存できる唯一の解決策だ」と断言した。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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