スイスの議会で昨年9月可決された父親に2週間の育児休業を認める案に反対するレファレンダムが成立した。国民投票は今年後半にも行われる見通しだ。
このコンテンツが公開されたのは、
保守系右派の国民党などでつくるレファレンダム発起人委員会は23日、3カ月で5万5200人超の署名を集めたと発表した。連邦内閣事務局で署名の有効性が確認されれば、国民投票となる。
反対派は、父親の育児休業は雇用主のコスト負担が大きすぎると反発。家庭生活は個人の問題で、国が関与するべきではないと主張している。
父親の育児休業を導入した場合にかかるコストは年間2億2900万フラン(約250億円)とされる。
スイスには現在、父親の育児休業を保障する法律がない。パートナーの出産を理由に休むことはできるが、実質1~2日だ。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイスの父親、育児休業たった「1日」 それでも日本より恵まれている理由
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは、父親の育児休業を保障する法律がない。慣例的に取れることは取れるが、それでもたった1日だ。
もっと読む スイスの父親、育児休業たった「1日」 それでも日本より恵まれている理由
父親の育児休業をめぐっては2016年、労働組合や父親らで作る団体が4週間の育休導入を求めるイニシアチブ(国民発議)を提起。この案に対する連邦議会の議論で4週間という長さに難色を示す意見が多く、議会は最終的に2週間という独自の案を出した。
議会の案は憲法改正が必要ない「間接的対案」で、イニシアチブが撤回され、レファレンダムも出なければ自動的に成立する。労働組合側が議会の対応を受けて4週間案を撤回したため、2週間の案だけが残り、あとは期間内にレファレンダムが成立するか否かが焦点となっていた。
スイスでは2005年まで、女性の産休・育休(出産後から14週間)が法律で保障されていなかった。連邦憲法にその権利が盛り込まれてから、制度が整うまで60年かかっている。
その他のレファレンダム
議会の決定に対するレファレンダムが成立し、国民投票にかけられるのは、児童手当の税控除、デジタルID導入、改正狩猟法に続き今年4度目となる。
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
おすすめの記事
「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。
もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
おすすめの記事
スイス、外来診療の新料金体系で合意 定額制を一部導入
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの医療機関団体は22日、外来患者向けの新料金体系を承認したと発表した。エリザベット・ボーム・シュナイダー内務相は積年の議論に決着がついたことを歓迎した。
もっと読む スイス、外来診療の新料金体系で合意 定額制を一部導入
おすすめの記事
スイス製武器の再輸出解禁案まとまる 主要政党の賛否まとまらず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)安全保障委員会は、スイス製武器の再輸出の解禁案をまとめた。武器の輸出から5年経過を条件に、ウクライナなど紛争中の第三国への再輸出を認める内容だ。ただ主要政党の間では賛否が割れている。
もっと読む スイス製武器の再輸出解禁案まとまる 主要政党の賛否まとまらず
おすすめの記事
スイスで「ニュース離れ」さらに深刻に メディア品質年鑑
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ大学公共・社会研究センターが毎年まとめる「スイスメディア品質年鑑」2024年度版で、スイスでニュースを平均以下の量しか消費しない人の割合は46%と、過去最高を更新したことがわかった。スイスメディア全体の質は引き続き「良好」と評価された。
もっと読む スイスで「ニュース離れ」さらに深刻に メディア品質年鑑
おすすめの記事
アイスホッケーのスイス代表、国旗の白十字使用認められず
このコンテンツが公開されたのは、
アイスホッケーのスイス代表チームは、ユニフォームにスイスの国旗である白十字の紋章を付けることができなくなった。スイスアイスホッケー連盟(SIHF)が連邦行政裁判所に提出した申請が遅すぎたのが原因だ。
もっと読む アイスホッケーのスイス代表、国旗の白十字使用認められず
おすすめの記事
スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は16日、ウクライナに侵攻するロシアへの追加制裁を発表した。ロシアの産業・軍事・技術に必要な製品の輸出規制が強化されるほか、政党、NGO団体、報道機関がロシア政府からの寄付を受け取ることが禁止される。
もっと読む スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
おすすめの記事
チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か
このコンテンツが公開されたのは、
高級ブランドが立ち並ぶチューリヒのバーンホフ通りにパン屋が開業し、大きな話題を呼んでいる。通りを象徴する百貨店の撤退や再開と合わせ、街の大きな転機になるとの指摘もある。
もっと読む チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か
おすすめの記事
世界の年金制度ランキング、スイスは12位 首位はオランダ
このコンテンツが公開されたのは、
コンサルタント会社マーサーが14日公表した世界年金制度ランキング(2024年度)で、オランダが世界一の年金制度の評価を得た。スイスは12位にランクインした。
もっと読む 世界の年金制度ランキング、スイスは12位 首位はオランダ
続きを読む
おすすめの記事
スイスのパートタイム勤務、働く母親には「もろ刃の剣」
このコンテンツが公開されたのは、
正社員でもパートタイム勤務が一般的なスイスでは、働く母親の多くがパートタイムで働く。この働き方にはメリットも大きいが、問題点もある。女性がキャリアを積めなければ国も発展できないと、働く女性への偏見を取り払うよう求める声が強まっている。
もっと読む スイスのパートタイム勤務、働く母親には「もろ刃の剣」
おすすめの記事
スイス上院、父親の2週間の育休導入案を可決 下院でも審議へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦上院議会(全州議会)は20日、父親に2週間の育児休業を認める案を賛成多数で可決した。審議は今後下院に回される。子育て政策後進国のスイスがようやく父親の育休実現に向け、重い腰を上げた格好だ。
もっと読む スイス上院、父親の2週間の育休導入案を可決 下院でも審議へ
おすすめの記事
父親の育児休業、スイス連邦議会の議論は?
このコンテンツが公開されたのは、
全国的な女性ストライキの1週間後、連邦議会で子育て政策をめぐる大きな動きがあった。全州議会(上院)が、父親に2週間の育児休業を認める案を賛成多数で可決した。家族政策がようやく一歩前進したが、それでも2週間という数字は国際基準には程遠い。
もっと読む 父親の育児休業、スイス連邦議会の議論は?
おすすめの記事
スイスの男性は育児休業0日 改善には長い道のり
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは、父親の育児休業が法律で保障されていない。今夏初め、父親が20日間の育児休業を取得できるよう求めるイニシアチブ(国民発議)が出されたが、先進国の育児休業日数と比べると、それでも少ない。
もっと読む スイスの男性は育児休業0日 改善には長い道のり
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。