ジュネーブの国連欧州本部前で11日、キャンドルを灯す人たち
© Keystone / Salvatore Di Nolfi
スイス連邦内閣が「イスラム組織ハマスはテロ組織とみなされるべき」とする声明を出したことを受け、ジュネーブでは11日夕、数百人のイスラエル人が国連欧州本部前に集まり、内閣の決定に賞賛を送った。一方、同市内では国連パレスチナ代表部がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を「ジェノサイドへの扇動」と非難した。
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「彼らか我々かだ」。国連欧州本部があるジュネーブのパレ・デ・ナシオン広場に集まった500〜600人のデモ参加者(その多くがイスラエル国旗を掲げていた)を前に、イファト・レシェフ駐スイス・イスラエル大使は、中立を盾にハマスの攻撃から目をそらすのは論外だと述べた。
スイス連邦内閣が11日、イスラム組織ハマスはテロ組織とみなされるべきだという見解を示したことを受け、レシェフ氏は「正しい方向への重要な一歩」と歓迎。その措置がいつどのように実施されるのか、数日中に当局に詳細を尋ねると約束した。
スイスは日本などと異なり、ハマスをテロ組織に指定していない。
レシェフ氏はまた「迅速に行動することが重要だ」と呼びかけた。国連欧州本部イスラエル常任代表メイラフ・エイロン・シャハル氏は「イスラエルはこの戦争に勝利する」と繰り返した。
ジュネーブでのデモは、スイス・イスラエル協会の呼びかけで行われた。
人質の解放を要求
同氏はまた「今日ここに集まった人々の数と、世界各国からの声明は、イスラエルへの支持を示している」と述べた。
デモ参加者の中には、ハマスが多数の民間人を人質として拉致したことに関し「ハマス=ISIS」、「人質を解放せよ」と書かれたプラカードを掲げる人もいた。
デモの主催者は、ジュネーブ拠点の赤十字国際委員会(ICRC)が人質と面会できるよう、多くの国際機関やアントニオ・グテーレス国連事務総長に嘆願書を手渡す予定だ。人質は「直ちに解放」されるか、第三国に引き渡されなければならないとし、国連がそれに向けて努力するよう求めている。
「ジェノサイド」
国連パレスチナ代表部は10日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が「ガザの壊滅」を目論み「ジェノサイド犯罪を扇動している」と非難した。イスラエルの同盟国に対しては、ハマスの行動だけでなくイスラエルの「国家テロ」を非難するよう求めた。
パレスチナ代表部は何十年もの間、国際機関に対し、平和的な方法で自国民の権利拡大を求めてきたと説明。そのアプローチは「あらゆる段階で障害」に直面してきたと訴えている。
英語からの翻訳:宇田薫
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