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越境労働者を抱えるティチーノ州の新型肺炎リスク

今のところ、スイス・イタリア間の国境は封鎖されていない Keystone / Martin Ruetschi

スイス南部のティチーノ州から数キロメートル離れたイタリア北部で、新型コロナウイルスが猛威を振るっている。ティチーノ州で働く人の4人に1人はイタリアから毎日国境を越えてやってくる。一部住民は州政府に対し、国境を封鎖するよう求めている。

ティチーノ州に新型コロナウイルスが到達する可能性は?

イタリアの感染の中心地であるローディ(Lodi)は、ティチーノ州のイタリア国境から100キロメートル程度しか離れていない。ティチーノ州には、イタリアと中央・北ヨーロッパを結ぶ主要なアルプス縦断ルートのゴッタルド道路・鉄道トンネルが走る。

だが経由するだけの乗客を通じた感染リスクは比較的小さい。リスクが高いのは、日常的に地元住民と接触機会の多い6万7800人の越境労働者たちだ。その大半はコロナウイルス感染が最も深刻な伊北部ロンバルディア地方からやってくる。 

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アラン・ベルセ内相によると、スイスでは24日までに300人が感染の疑いで検査を受けたが、いずれも陰性だった。だがアジアを旅行中の複数のスイス人に感染が見つかり、現地で隔離措置を受けた。

国境は封鎖できるのか?

イタリアとティチーノ州の間の国境封鎖はスイス連邦当局の権限だ。右派地方政党ティチーノ連盟の議員らが国境封鎖を求めたが、政府は当面、封鎖はしない考えだ。

スイス連邦保健局は、イタリア北部の状況に不安はあるが、まだ局地的な感染に過ぎず、スイスに(感染者の)波が押し寄せると判断するには時期尚早だとしている。

一方、欧州中で感染が広がる現状を踏まえると、各国が緊密に結び付く中でスイスとイタリアの国境だけを封鎖しても封じ込めにはならない。フランスやオーストリアもイタリアとの国境は開放している。ただオーストリアは国際列車の運行を見合わせている。

ティチーノ州の経済は越境労働者がいないと成り立たない?

ティチーノ州で働く越境労働者は6万7800人と、スイスと欧州連合(EU)が人の移動の自由を定めた2002年から倍に増えた。越境労働者の多さはジュネーブ州(8万7104人)に次ぐ2位。バーゼル・シュタット準州(3万3932人)とヴォー州(3万2425人)を大きく上回る。

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ティチーノ州の労働者の4分の1以上が越境労働者だ。伝統的には建設業や工場で多かったが、今では3分の2が第3次産業(サービス業)だ。

実際には公共部門を含むあらゆるセクターで越境労働者が活躍する。国境封鎖はティチーノ州経済に大きなダメージを与え、市民生活を支える基本サービスも回らなくなる可能性がある。特に影響が懸念されるのは医療部門だ。看護師の半分は外国人で、2割は越境労働者だからだ。

イタリアの動き

スイス連邦内務省保健局によると、中国武漢市の新型コロナウイルスの感染源は、魚のほかコウモリやヘビなどの野生動物が売り買いされていた市場の可能性が高い。新型コロナウイルス(COVID-19)は世界で8万人が感染し、2701人が死亡した。死者のうち38人は中国本土以外で発生している。

欧州で感染が最も広がっているのはイタリアだ。感染者は230人を超え、7人が死亡した。7人全員が高齢者で持病があった。

イタリア政府は最も感染者の多い北部の自治体を封鎖。広範囲の地域で公共イベントを禁止した。感染者が2人出ているベネチアでもカーニバルが開催途中で打ち切り外部リンクとなった。商店やバーもシャッターを閉め、人々は感染しない距離で会話している。

感染が広がっているのはイタリア北部の2つのエリア。ロンバルディア州の10都市と、近隣のベネト州だ。

イタリア当局はまだ国内での感染源を特定しておらず、2エリアとの関連もわかっていない。感染者の増加を受け、当局は感染地域を6カ所に食い止めるのに必死だ。オーストリア政府に対し、イタリアとの越境列車の運行を一時的に停止するように促した。

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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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