「私たちは黙っていない」 若手活動家がジュネーブから発信
世界中の若手活動家が11月、ジュネーブにある国連欧州本部に集まり、世界的な課題に取り組むプロジェクトを披露し合った。
集まった若手企業家は6人。先月18日に開催された「ヤング・アクティビスト・サミット(YAS)2021」の一環として、ジュネーブにある国連本部パレ・デ・ナシオンで自分たちの活動を発表し合った。狙いは、グローバルな課題に取り組むために考案した解決策をプレゼンし、他の若者に行動を促すことにある。
「全ての活動家の活動は見られているということ、少女たちの声は届いているということ、そして若者は自らの手で行動を起こしているのだということを思い出してもらうための登壇だった」。ケニア出身のステイシー・ディナ・アディアムボ・オウィノさんはこう話す。性器切除(FGM)外部リンクの危険から女性・少女を守るためのアプリを開発した。
イベントには地元の学生たちが対面参加し、140カ国以上からオンライン参加者が集った。
「自分が一番心配しているのは、これまでにたくさんの攻撃を受けた子供たちは、自分の可能性に気づいていないという事実です。そんなことはもう起こって欲しくない。生徒たちには、周りの人ができないと決めつけることも本当はできることに気付いてほしい」。こう話すのは最年少参加者のギタンジャリ・ラオさん(16)だ。
ラオさんは飲料水の汚染物質の検出や、オピオイド(鎮痛薬)依存症予防、ネットいじめ対策を考案。昨年米タイム誌から「キッド・オブ・ザ・イヤー」の称号を得た。
活動家たちに触発されたのは若者だけではない。ジュネーブ国連事務局長(UNOG)のタチアナ・バロヴァヤ氏や国連人権高等弁務官のミチェル・バチェレ氏もこのイベントに参加した。
バロヴァヤ氏は参加者に「皆さんは提案を出し、解決策を探り、対話を進めています。そしてもちろん、私たち上の世代に対しても、決断を下し、すぐに行動するように圧力をかけ続けています」と語りかけた。
バチェレ氏も「皆さんは国内外の重要な議論に影響を与えています。議論に加えるよう求め、気候変動に取り組まない政府や企業を批判するなど、社会的な変化も促しています」と称えた。
第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の直後とあって、若手活動家たちの発したメッセージは明らかだった。彼らは上からの支持を待つ世代ではない。
フランス領ポリネシアから参加したティトゥアン・ベルニコさんは「すごい活動をしていて、それも年齢や学歴、出身地に関係なくやっている若者が世界中にいるのは素晴らしいことです。頑張れば結果はついてくるし、信頼を勝ち取れます」と語った。ベルニコさんはサンゴ礁の復元プロジェクトを企画している。
フィリピンから来たルイーズ・マブロさんは「若者が行動すること、それも責任を持って自身の手で行うことが大切だと思います。私たち自身の未来を守り、私たちが夢見る世界を実現するためですから」と訴えた。マブロさんは母国の農家の気候変動への対応を支援している。
「私たちの世代は恐れていません。この世代は世界で起きていることを知っているし、黙ってもいません。それはとても良いことです」。こう話すのは16歳のホセ・キソカラ・コンドーリさん。16歳で子供を貧困から救済しリサイクルを奨励する銀行を立ち上げた。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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