スイス全州議会(上院)は9日、大麻を一定の規制下で配布し、娯楽目的使用の影響を調べる試験調査を行うための法改正案を賛成多数で可決した。
このコンテンツが公開されたのは、
調査は規模と期間を限定して行う。対象は、大麻をすでに使用している18歳以上の人々に限る。調査では大麻の入手先を管理することで、使用者の消費・購買傾向、健康状態がどう変わるかを調べる。
改正案を支持したアラン・ベルセ内務相は、現在の状況は「不十分だ」と述べた。特にベルン、ジュネーブ、チューリヒ、バーゼルなどの都市部ではそうした状況が目立ち、研究に関心を示しているとした。
スイスの人口の3分の1は、大麻を吸った経験があるという。定期的に吸っているのは約20万人に上る。だが大麻は違法薬物で、消費された薬物の品質や生産元に関する包括的なデータが存在しなかった。
右派・中道政党は大麻自由化につながる恐れがあるとして、研究の実施に反対。研究実施にかかる条件もあいまいで、事業費は予防キャンペーンに充てた方が有益だと主張している。
法改正案でまだ明確に定まっていない要素が1つある。国民議会(下院)は、研究で使用する大麻はすべて国内有機産とする方針だが、上院は現状を鑑みると現実的ではないとしている。
研究に関する議論は2017年、ベルン大学が同様の研究実施を申請したのがきっかけ。同大の申請に対し、連邦保健庁は医学的理由での大麻使用のみが認められるとして却下した。
スイスでは2008年、個人消費目的の大麻合法化を目指すイニシアチブ(国民発議)が国民投票にかけられ、3分の2の反対で否決された。大麻の問題が国民投票にかけられたのは過去10年で2度目だった。
おすすめの記事
スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画が、正式な認可が下りる前から反対運動に直面している。
もっと読む スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
おすすめの記事
ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
このコンテンツが公開されたのは、
ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。
もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
おすすめの記事
スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。
もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
おすすめの記事
2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。
もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
おすすめの記事
CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
このコンテンツが公開されたのは、
今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。
もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
おすすめの記事
女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。
もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
おすすめの記事
「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。
もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
続きを読む
おすすめの記事
医療用大麻の処方、許可なしでOK スイス法改正案
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は24日、医師が医療用大麻を処方する場合、政府の許可を必要としないとする改正麻薬法案を議会に提出した。
もっと読む 医療用大麻の処方、許可なしでOK スイス法改正案
おすすめの記事
スイスはどこまで麻薬を合法化するのか?
スイスは1990年代、深刻な中毒者に無料でドラッグを配布するという新たな政策を打ち出し、チューリヒとベルンでは数百人の中毒者が公共の場に大挙した。
もっと読む スイスはどこまで麻薬を合法化するのか?
おすすめの記事
スイスの中毒患者の現状明らかに 地域差も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス健康調査機関(OBSAN)が行った調査で、スイスの中毒患者はどのような合法・違法薬物に依存し、またどの地域に集中しているのかが明らかになった。
もっと読む スイスの中毒患者の現状明らかに 地域差も
おすすめの記事
あるスイス人麻薬中毒者の日常
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの先進的な麻薬政策が実を結び、麻薬が公然と使用される光景はすっかり影をひそめた。街中ではヘロイン中毒者もあまり見かけなくなったが、今、彼らはどんな生活をしているのだろう?
もっと読む あるスイス人麻薬中毒者の日常
おすすめの記事
「大麻の販売は、3年以内にスイスの薬局で復活する」
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは何万人もの患者が、体の不調や痛みの改善に大麻を使用しているが、その大半は違法に行っているのである。治療用大麻の分野ではスイスを代表する専門家の一人、ブレナイゼン氏に話を聞いた。
もっと読む 「大麻の販売は、3年以内にスイスの薬局で復活する」
おすすめの記事
スイス下院、調査目的なら大麻配布が可能
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで娯楽目的の大麻使用に関する研究が行われるかもしれない。国民議会(下院)は、大麻をすでに利用している18歳以上を対象に薬物を配布し、その効果を検証するパイロットテスト(試験調査)を賛成多数で可決した。
もっと読む スイス下院、調査目的なら大麻配布が可能
おすすめの記事
スイスの中毒事情
このコンテンツが公開されたのは、
スイスではアルコール中毒、ニコチン中毒に加えて、電子たばこ中毒やオンラインギャンブル中毒も増えている。
もっと読む スイスの中毒事情
おすすめの記事
スイスの薬物 大麻が最も普及
このコンテンツが公開されたのは、
スイスではコカインより市場価値がずっと低い大麻が依然、最も広く普及している薬物であることが、研究者の調査で分かった。
もっと読む スイスの薬物 大麻が最も普及
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。