イタリア・ギリシャの難民分担計画、両国からの移送完了はわずか0.5%
大量の難民が到着するイタリアとギリシャを支援するため、欧州連合(EU)は昨年9月、両国にいる難民のうち16万人を加盟国間で分担することを決定した。だが現在までに移送された難民は、この0.5%にあたる、わずか870人。こうした中スイスは、ギリシャから600人の難民を受入れると発表。また、イタリアから900人の受入れを検討するという。そうなれば、スイス政府が昨年公表していた、1500人の難民受入れの約束が実現することになる。
本日7日、EUは欧州の難民危機をめぐり特別会談を開催。一方で、昨年決定された難民の受け入れ分担計画の実施は難航している。
決定から5カ月を経た現在までに移送された難民は、イタリアから336人、ギリシャから534人。微々たる数だ。次のグラフィックから分かるように、受け入れ準備が完了しているのはEU全体で6千人。各国が約束した受け入れ総数は目標16万人の3分の2にも満たないことが分かる。残る6万人をEU加盟国間で分担する必要もある。
一方でスイスは、状況の改善に少なからず貢献できそうだ。日曜紙NZZ・アム・ゾンタークは、「スイス政府はギリシャから600人、イタリアから900人の難民申請者を受け入れる」と連邦移民事務局が発表したと報じている。シモネッタ・ソマルーガ司法警察相によれば、最初の難民グループが3月中にもスイスに到着するという。
ここ数週間、スイスの国境にはあまり難民が押し寄せていないが、状況は急激に変わることもある。そのため、政府はこうした難民の受け入れ施設を早急に確保する必要がある。一つの可能性として、空軍の飛行場施設があげられている。
なおスイスは、難民がまず押し寄せる国、ギリシャに対するヨーロッパの支援基金(3億3000万フラン)には参加しない予定。
次のグラフは、EU加盟国が受け入れを約束した難民数と、現在までに実際に移送された難民数を表している。注意しなければならないのは、イタリアやギリシャから他のEU国に移送される難民は、「全面的な保護を伴う難民認定が下りる確率の高い申請者に限られる」という点だ。EU統計局(ユーロスタット)の定める基準に基づいた計算で、認定の可能性が75%以上の難民申請者が対象となる。ちなみにシリア、イラク、エリトリア出身の難民申請者は、認定の確率が高い。
(仏語からの翻訳・編集 由比かおり)
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