スイスの製薬大手ノバルティスは、抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンが新型コロナウイルスに最も有望だとし、投与1億3千万回分を寄付した。ドイツ語圏の日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングが報じた。
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ヴァサント・ナラシンハン最高経営責任者(CEO)は先月29日、同紙に「動物実験、臨床試験から得られた最初のデータは、ヒドロキシクロロキンがコロナウイルスを殺すことを示している」と語った。
ノバルティスは3日、スイス政府にこの薬を「かなりの量」寄付すると発表した。病院に配布されるとみられる。これだけの量の提供を受けたのは欧州では初めてで、世界でも米国に次いで2番目だ。
ヒドロキシクロロキンはノバルティスのジェネリック医薬品事業部門サンド外部リンクが製造。紅斑性狼瘡(こうはんせいろうそう)や関節炎の治療にも使われている。ナラシムハン氏は同紙に 「私たちはスイス国内の病院と協働し、この薬の(Covid-19に対する)臨床使用に向け、どのような治療プロトコルが可能か探っている。ただ決定的なことを口にするのは時期尚早だ」と述べた。
ヒドロキシクロロキン、関連薬クロロキンは、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の治療に向け臨床試験を実施している。
ノバルティスは先月20日、当時の在庫5千万回分(200ミリグラム/投与)を含む、計1億3千万回分を提供すると発表外部リンクした。米国が提供を受けたのは3千万錠という。
同社は声明で「ノバルティスは世界保健機関など関係者と協力し、医薬品の最適な配布を決める。この医薬品を最も必要としている世界中の患者が幅広くアクセスできるようにする」と述べた。
米国と協力
ナラシンハン氏は、同社の多発性硬化症治療薬ジレニア外部リンク、がん治療薬ジャカビなどの医薬品についても、Covid-19治療薬として検討が行われていると語った。
他の製薬会社も治療薬開発への臨床実験に乗り出した。その一つがロシュのサイトカイン放出症候群治療薬、関節リウマチ薬として知られるアクテムラで、すでに臨床実験が始まった。
同社は3月20日、米国政府と共同で実施する第Ⅲ相臨床試験の実施について、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得たと発表した。
政令
スイス政府は3日、新型コロナウイルス治療に効果が期待される医薬品へのアクセスを迅速化するため、規制当局の正式承認を得る前に病院への配布を可能にする政令を出した。
法令は、ヒドロキシクロロキンのほか、アッヴィ社のHIV治療薬カレトラ、米ギリアド・サイエンス社の実験的レムデシビル、ロシュのアクテムラなどが対象。いずれも新型コロナウイルス治療に向けた研究が行われている薬だ。
政府によると、審査中の医薬品の法的要件を一部緩和し、医薬品規制庁スイスメディックの権限も拡大するという。
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