スイスの視点を10言語で

胎児の尿道狭窄治療に光 世界最小のステント開発

連邦工科大学
連邦工科大学チューリヒ校 Keystone / Christian Beutler

スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)の科学者が、世界最小のステントを開発した。ステントは血管など人体の管状の部分を内部から広げる器具で、ETHZの開発したステントは通常の40分の1のサイズという。

同校によると、ステントのサイズは幅0.05ミリ、長さ0.5ミリ。子宮内胎児の尿道狭窄の治療に効果が見込めるという。

ステントは、心筋梗塞や狭心症の患者に対し、冠動脈の狭窄している部分に留置して血管の拡張を維持する医療機器として使われる。ただ胎児の尿道はそれよりはるかに狭いため、こうした治療が難しかった。

アールガウ州立病院の小児外科医らがETHZのマルチスケール・ロボティクス研究室外部リンクに、より小型なステント開発を提案した。

ステント
連邦工科大学チューリヒ校が開発したステントは、幅が0.05 ミリ、長さが0.5ミリのサイズ Carmela de Marco / ETH Zurich

研究チームは、レーザービームから得られた熱を使い、3Dテンプレート(3Dネガ)を、溶媒で溶解可能なマイクロモールド層にカット。そのテンプレートを形状記憶ポリマーで満たし、紫外線をあてて硬化させ、溶媒に浸して完成させた。

小児外科医のガストン・ドゥ・ベルナディ氏は「形状記憶ポリマーは、尿道狭窄の治療に適している。圧縮して患部に挿入し、留置するとステントが元の形状に戻り、狭窄領域を広げる」とメリットを語る。

今後、動物実験で効果を検証する。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

スイス中銀

おすすめの記事

スイス中銀、807億フランの黒字 2024年決算

このコンテンツが公開されたのは、 スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が3日発表した2024年度決算確報は、807億フラン(約13.5兆円)の黒字だった。速報時点の見込み通り、連邦政府・州に30億フランを配当する。

もっと読む スイス中銀、807億フランの黒字 2024年決算
スイス中銀のマルティン・シュレーゲル総裁

おすすめの記事

スイス中銀総裁、ビットコインの準備金化に反対

このコンテンツが公開されたのは、 スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のマルティン・シュレーゲル総裁はスイス紙のインタビューで、中銀の準備金にビットコインを追加する国民投票案に反対する考えを示した。暗号資産(仮想通貨)は資産として多くの問題を抱えていると指摘した。

もっと読む スイス中銀総裁、ビットコインの準備金化に反対
ドナルド・トランプ米大統領

おすすめの記事

スイス、米国の死刑推進に「深い懸念」表明 人権理事会で

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は3日の国連人権理事会(HRC、本部・ジュネーブ)で、ドナルド・トランプ米大統領が連邦・州レベルの死刑制度を強化する大統領令に署名したことを「深く懸念している」と表明した。

もっと読む スイス、米国の死刑推進に「深い懸念」表明 人権理事会で
株価ボード

おすすめの記事

スイス株式相場、初めて1万3000の大台に

このコンテンツが公開されたのは、 スイス株式市場で24日、代表指標のSMIが一時1万3000の大台を超え、史上最高値を記録した。前日のドイツ連邦議会選挙で保守派が勝利したことを受け、安心感が広がった。

もっと読む スイス株式相場、初めて1万3000の大台に
ゼンティス山の山岳ケーブルカーとスイス国旗

おすすめの記事

ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ

このコンテンツが公開されたのは、 東スイスの有名観光地ゼンティス山の山岳ケーブルカー「Säntisbahn」運営会社は24日、強風に対する安定性向上を目的にケーブルカー施設の全面改修工事に着手すると発表した。

もっと読む ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ
牧草をはむ牛

おすすめの記事

スイス、PFASの規制強化を検討

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。

もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部