スイス・ジュネーブに今月、太陽系外の惑星を探査する世界中の科学者たちが集結した。ケオプス(CHEOPS)望遠鏡を始め、スイスの宇宙探査への貢献も再び注目を浴びている。
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「エッフェル塔の写真を見たら、あなたは『そうですね…悪くない』というだろう。でも実際に塔のふもとでそれを見上げたら、また別の印象を受ける」。天文学者のピエール・ブラッチ氏はこう語る。
こうした発想をもとに、ジュネーブ天文台のブラッチ氏のチームは超大型望遠鏡(VLT)外部リンクを構成する四つの大型装置の実物大の複製を作ることにした。VLTの原型はチリのアタカマ砂漠にあり、宇宙の遠方観測に利用されている。
複製は高さ15メートル。今月開かれる惑星科学者会議の期間中、ジュネーブ市内にあるプランパレ公園に設置されている。会議には太陽系外の惑星を探索する科学者が集う。VLTの模型の隣には、一回り小さいケオプス(CHEOPS)望遠鏡の複製がある。
スイスの研究者が開発したCHEOPS望遠鏡には大きな期待が寄せられている。太陽系外惑星の観察や大きさ、その他の特性の調査を任務とし、2019年末に打ち上げ予定。惑星の大気で酸素など特定の気体濃度が高ければ、生命体が存在することも考えられる。望遠鏡が捉えた画像はジュネーブで分析される。
天文学者の街
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ジュネーブは、太陽系外惑星の研究を続けるのに適した場所といえる。惑星のカタログ化がここで始まったからだ。ジュネーブ天文台のミシェル・マイヨール所長とディディエ・ケロー氏は1955年、初の主系列星を公転する太陽系外惑星として「ペガスス座51番星b」を発見したと発表した。当時、望遠鏡でも見えないほど遠い宇宙の探査に専念している科学者は世界中に10人前後しかいなかった。
現在、太陽系外惑星のカタログには4000個以上の惑星が登録されている。未確認の惑星候補も6000個ある。これら惑星の研究は天体物理学の主要分野で、「地球は宇宙で唯一の生命体が存在する惑星なのか?」という永遠の謎に挑戦している。
世界中で数千人の惑星科学者が太陽系外惑星を研究している。4年に1度開かれる欧州惑星科学会議外部リンクには米欧の科学者が集まり、知見を共有する。今年は15~20日の会期中に約2000人がジュネーブに集結した。
VLTの複製は会議終了後、ジュネーブ市郊外のジュネーブ天文台に移され、年約1500人の天文台訪問者が観賞できるようにする。
ブラッチ氏は「我々を取り巻く全て原理は我々を魅了するが、やるべきことはまだたくさんある」と話す。「彼らに会いに行かなければならない」
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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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